研究課題/領域番号 |
22K02050
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研究機関 | 桜花学園大学 |
研究代表者 |
柏倉 秀克 桜花学園大学, 保育学部, 教授 (40449492)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 視覚障害者 / ロービジョンケア / ECLO |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,「情報障害を抱える視覚障害者が各種社会資源に適切にアクセスできるようにするためのリンクワークに着目し,リンクワーカーを中心とする地域支援ネットワークによる支援効果を実証的に検討すること」にある。 ①令和4年度は日本視覚障害者団体連合,日本ロービジョン学会の協力を得て,病気や障害で視覚障害となった患者が地域生活に移行するプロセスについて医療機関に重点を置いて実態調査を進めた。その結果,井上眼科病院や広島大学附属病院にみられるような地域の社会資源と効果的に連携する実態が明らかになった。 ②ハワイ大学障害学研究センターの協力を得て,ハワイ大学及び同大学コミュニティカレッジにおける視覚に障害のある学生に対する支援について実態調査した。その結果,障害学生支援サービスとは別に,アドバイザーやメンターによる学生支援の充実が明らかになった。日本においても学生の多様化に応じた学生支援の充実が急がれる。 ③中途視覚障害者支援の現状については,「全国視覚障害児者実態調査」(筑波大学),「生活のしづらさなどに関する調査:全国在宅障害児・者等実態調査」(厚生労働省),高齢・障害・求職者雇用支援機構年報等の統計資料を分析し,全体状況の把握を進めた。視覚障害者にとって失明という経験は心身ともに大きな影響を与え,各種リハビリテーションへの参加を阻害する要因となっていることから,こうした現状について引き続き日本視覚障害者団体連合,日本ロービジョン学会の協力を得て全国調査を実施する予定である。 なお平成4年度の研究の成果は日本福祉心理学会,日本ロービジョン学会,桜花学園大学保育学部研究紀要において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予想に比べコロナ禍の影響によってリモートによる会議や調査が多くなったものの,研究の進捗状況はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
①ロービジョンケアや社会福祉学の領域における文献調査を通じ,地域における中途視覚障害者支援に関する理論的検討を進める。②新型コロナウィルスの感染状況が落ち着いた場合,イギリスのリンクワーカーによる支援状況を実地調査する。 イギリスのリンクワーカーは,高齢や障害分野において当事者と社会資源を結び付ける上で重要な役割を果たしている。とりわけ視覚障害者支援を専門とするECLOはイギリス全土に配置され,地域生活支援におけるキーパーソンとして世界的に注目されている。この調査結果を分析し,本研究で提案する支援システム構築に向けた示唆を得る。なお実地調査についてはイギリス視覚障害者協会(The Roal National Institute of Blind People)の協力を得て,実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響で研究打ち合わせや会議がリモートで実施されたため,当初予定していた会議費等が執行されなかった。
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