研究課題/領域番号 |
22K02050
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研究機関 | 桜花学園大学 |
研究代表者 |
柏倉 秀克 桜花学園大学, 保育学部, 教授 (40449492)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 視覚障害者 / リンクワーカー / ECLO / イギリス視覚障害者協会 |
研究実績の概要 |
これまでに、①中途視覚障害者の現状把握をするとともにICFの視点からその生活実態を考察してきた。②イギリスのリンクワーカー(ECLO;Eye Clinic Liaison Officer))について実態調査するとともに、リンクワーカーをキーパーソンとした日本型支援モデルの構築について理論的に検討を進めた。③名古屋市の医療・福祉・就労支援機関等の協力を得て、支援効果を実証的に検討する準備を進めてきた。 2023年度は地域における中途視覚障害者支援に関する理論的検討を進めた。さらにイギリスのECLOによる支援システムの構築に向けた研究を進めてきている。なお実地調査については、ロンドン(イギリス視覚障害者協会(The Royal National Institute of Blind People)におけるECLOの研修や就労支援に関する調査,公立小学校における視覚障害児支援の実態調査)ならびにスコットランド(グラスゴー大学の障害児の心理に関する研究開発部門での調査,エジンバラの障害者支援施設(障害児の早期支援施設,障害児の家族支援施設)における実地調査)を中心に実施した。イギリスのリンクワーカーは、高齢や障害分野において当事者と社会資源を結び付ける上で重要な役割を果たしている。とりわけ視覚障害者支援を専門とするECLOはイギリス全土に配置され,地域生活支援におけるキーパーソンとして重要な役割を果たしていた。さらにこのECLOと連携するROVI(Rehabilitation Officer vision impairment)の重要性とその整備が遅れていること等が明らかになった。この調査結果を分析するとともに、本研究で提案する支援シの協力を得て実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の①にあたる中途視覚障害者の現状把握とICFの視点からの生活実態の考察についてはおおむね2022年度に実施し、終了している。研究目的の②にあたるイギリスのリンクワーカーの実態調査については、イギリスのロンドンとスコットランド地区における調査を終了し、その結果を分析中であり、おおむねその目的を達成しつつある。研究目的の③にあたる支援効果を実証的な検討に関しては、2024年度中に実施する予定である。以上全体を通して研究の完成に向け順調に推移しているのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度に当たる2024年度は、中途視覚障害者を対象とした支援システムの実証的検討と考察を行う予定である。日本にはリンクワーカーに相当する専門職は存在しない。しかしその役割を担ってきた専門職としては、視能訓練士、看護師、リハビリテーションワーカーなどが存在する。そこで愛知県内の視能訓練士をキーパーソンとし、リンクワークによる支援を実施し、その結果を分析する予定である。試行期間は2024年6月から10月を予定している。最後に研究結果報告書を作成し,関連学会で報告するとともに研究協力機関,障害当事者並びに当事者団体、視覚障害リハビリテーション施設、障害者地域生活支援センター、眼科医療機関等に情報提供し、支援方法に関する議論を深める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
英国への実地調査を3月中旬に実施したことによって当該出張にかかった経費等の精算を次年度に繰り越すこととなったため。
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