研究課題/領域番号 |
22K02056
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
西田 美香 九州保健福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (50509718)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | アルコール依存症 / レジリエンス / アンケート調査 |
研究実績の概要 |
本研究は、アルコール依存症者独自のレジリエンス測定尺度を用いてアルコール依存症者のレジリエンスの変化を縦断的に測定分析し、アルコール依存症者のレジリエンスに基づく支援アプローチを提案することを目的としている。 研究計画として、当初、2022年から2024年の3年間、アルコール依存症者のレジリエンスを測定する調査を年に2回実施する予定であった。しかし、アルコール依存症者独自のレジリエンス測定尺度の完成が2022年度となったため、調査開始が2023年度からとなった。 現在、アルコール依存症者への第一回目の調査を実施するとともに、アルコール問題を抱えていない一般成人へのレジリエンスに関する調査を実施している。それらの結果の比較検討から、アルコール依存症者のより詳細なレジリエンスの解明を行う予定である。また、2023年度から2025年度に縦断的に実施する調査により、アルコール依存症者の生活状況とレジリエンスの変化を分析し、アルコール依存症者のレジリエンスに基づく支援アプローチの提案を行う予定である。 これまでの先行研究で、アルコール依存症者の成長や回復力、レジリエンスについて示されているものは少なく、また、具体的にアルコール依存症者のレジリエンスを測定しレジリエンスの数値化や変化、生活状況との関連に対する検討はなされていない。本研究は、アルコール依存症者独自のレジリエンス測定尺度を用い、アルコール依存症者のレジリエンスを縦断的に測定することにより、レジリエンスすなわち病から回復する力、復元する力を可視化していく。そして、根拠に基づいた支援のあり方を検討することが本研究の最大の目的となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アルコール依存症者独自のレジリエンス測定尺度(機関誌「九州社会福祉学第19号」掲載:2023年3月)をもとに、アルコール依存症者のレジリエンスの解明に向け第一回アンケート調査(2023年6月末〆切)を実施している。当初、2022年度から縦断的調査を実施する予定であったが、アルコール依存症者独自のレジリエンス測定尺度の完成が2022年度となったため、調査開始が2023年度となった。しかし、レジリエンス測定尺度の作成と並行して行っていた、アルコール依存症者および一般成人への調査協力依頼の結果、予定より多くの調査協力を得られることとなった。 アンケート調査はアルコール依存症者(自助グループ所属メンバー約200名、依存症専門病院通院・入院患者約60名)およびアルコール問題を抱えていない一般成人400名を対象とし、それぞれの結果を比較検討することにより、アルコール依存症者のレジリエンスを解明する。また、生活における様々な出来事とアルコール依存症者のレジリエンスの変化を分析し、求められる支援の内容について検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策として、2023年5月に実施しているアルコール依存症者および一般成人を対象とするアンケート調査に引き続き、2023年11月にアルコール依存症者を対象とする第二回目の調査を実施する予定である。 第一回目の調査で明らかとなった調査実施上の課題等を考慮し、より丁寧な調査の実施を目指している。 また、アルコール依存症者と一般成人のレジリエンスの比較検討結果をまとめ、2024年度に公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、2022年度から開始する予定であったアンケート調査が、2023年度からの開始となった。そのため、アンケート調査の準備や実施のための予算執行が遅れる結果となった。また、データ入力等で予算化していたアシスタント人件費も執行していない状況である。 2023年度に実施するアルコール依存症者及び一般成人を対象とするアンケート調査は、当初計画していた人数より7.5倍多くなっている。そのため、アンケート用紙の準備や調査紙の送料、データ入力作業に予定していた以上の予算が必要となってくる。 当初の予定より、質問紙製本やアンケート返信用料金、データ入力アシスタント人経費が追加して必要となるため、計画的に予算執行を行っていく予定である。
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