研究課題/領域番号 |
22K02056
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
西田 美香 九州保健福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (50509718)
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研究分担者 |
三宮 基裕 九州保健福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40331152)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | アルコール依存症 / レジリエンス / アルコール依存症者独自のレジリエンス測定尺度 / アンケート調査 |
研究実績の概要 |
本研究は、アルコール依存症者独自のレジリエンス測定尺度(以下RSA)を用いて、アルコール依存症者のレジリエンスの変化を縦断的に測定分析し、アルコール依存症者のレジリエンスに基づく支援アプローチを提案することを目的としている。 2022年度に作成したRSAを用いて、2023年6月~8月および12月~2024年2月に2回のアンケート調査を実施した。第一回目の調査(2023年6月~8月)は、アルコール依存症者および非依存症者を対象に調査を実施し、現在、データ分析を行っている。 分析の方向性として、まず、RSAの妥当性を検討するため、精神的回復力尺度(小塩ら2002)とRosenberg自尊感情尺度(内田2010)との相関係数を確認する。次に、アルコール依存症者および非依存症者のRSA得点の比較および基本属性との関連を確認し、アルコール依存症者のレジリエンスに影響を与える因子を抽出する予定である。さらに、調査対象者のストレス度とRSA得点との相関も確認し、レジリエンスに与える影響を詳細に確認する。分析結果は機関誌「九州社会福祉学」に投稿する。 第三回目の調査は2024年6月から8月にアルコール依存症者を対象に実施する。第一回目から第三回目の調査におけるRSA得点の推移を確認し、レジリエンス得点の高い者の基本属性を確認するとともにインタビュー調査を実施し、レジリエンス向上に影響する要因の抽出を目指す。 これまでの先行研究でアルコール依存症者の成長や回復力、レジリエンスについて示されているものは少なく、また、具体的にアルコール依存症者のレジリエンスを測定しレジリエンスの数値化や変化、生活状況との関連に対する検討はなされていない。本研究はRSAを用い、アルコール依存症者のレジリエンスを縦断的に測定することにより、その詳細を可視化する。そして、根拠に基づいた支援の在り方の検討が本研究の最大の目的となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は2回のアンケート調査を実施した。アルコール依存症者のセルフヘルプグループおよびアルコール専門病院の協力を得て、無事に調査を実施することができた。また、2024年度も2回のアンケート調査を予定しているが、セルフヘルプグループおよびアルコール専門病院の協力を得ており、調査の遂行には問題は生じていない。 実施したアンケート調査の分析は、研究分担者(社会調査のエキスパート)の協力のもと滞りなく進めることができている。また、心理学系の社会調査エキスパートからの指導および助言を受けることにより、分析の方向性および分析内容の確認を行うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
①2023年度のアンケート調査結果をまとめ、RSAの妥当性およびレジリエンス関連要因について、機関誌「九州社会福祉学」(2024年8月)に投稿する予定である。 ②2024年度は6月~8月および12月~2025年2月の2回、アルコール依存症者を対象にアンケート調査を実施する予定である。 ③2023年度および2024年度に実施したアンケート調査結果において、レジリエンス得点の高い対象者について基本属性を確認するとともに、インタビュー調査を実施しレジリエンスに影響する要因について追究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度、アルコール依存症者のセルフヘルプグループおよびアルコール専門病院の協力を得てアンケート調査を2回実施した。調査紙の配付について、各団体の代表者から調査対象者へ調査紙を配付していただくことにより、調査紙送付にかかる予算を最小限に抑えることができた。また、情報収集のために参加した学術総会が岡山県で開催されたため、当初の予算案より経費が抑えられている。 2024年度のの使用計画として、アンケート調査を2回実施し、分析結果を学術誌に投稿する予定である。そのための調査紙製本、送料、分析ソフトの購入等を行う予定である。また、アディクションに関する学術総会が東京都で開催されるので情報収集のため参加する予定である。
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