研究課題/領域番号 |
22K02059
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
亀山 純子 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (40930433)
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研究分担者 |
橋爪 祐美 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40303284)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 外国人介護職者 / ウェル・ビーイング / ワーク・エンゲイジメント / 高次脳機能障害 / 実践的教育研修 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、我々研究班がこれまで進めてきた研究成果に基づき、外国人介護職者における、外国人介護職者における、高次脳機能障害を有する症例に焦点をあてた教育アプローチと幸福感の関連を検証することである。わが国において、外国人介護職者に向けた専門教育と効果に関して明らかにした調査研究は、申請時点(2021年9月)では1件も報告されていない。外国人介護職者の幸福感の向上を基軸に組み立てられた教育研修の構築と評価が本研究の意義である。 2022年度の研究活動については、まず、教育研修の検討と構築を趣旨に、文献レビューにより、1.高次脳機能障害に伴う社会的行動障害、高次脳機能障害リハビリテーション、高次脳機能障害に伴う社会的行動障の回復において有効とされるソーシャルスキルトレーニング(Social Skill Training: SST)。2.教育研修により会得が予想される技能に関する評価方法と、自己能力の有用感をもたらす演習方法(具体的には、グループワークを設定し、高次脳機能障害を有する利用者へ向けた普段のケアからのフリーディスカッションを展開する)。この2点における教育研修への有用性・妥当性を筑波大学属病院脳神経外科専門医の助言のもと、筑波大学医学医療系教員(研究分担者)、茨城県高次脳機能障害支援センター職員2人(研究協力者)とともに議論・検討を重ねた。なお、これら教育研修に使用する資料・教材はすべて、筑波大学医学医療系医の倫理委員会の承認(承認番号:第1826号)を得て作成にあたっている。外国人介護職者へ向けた実践的教育研修用に作成された資料は、世界初のものとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究体制:本研究の展開における効果と効率を促進するため、今回、本来所属の異なる研究代表(東京大学)と研究分担者(筑波大学)の活動拠点の一元化をはかった。具体的には、本研究を研究分担者の所属する筑波大学による単独研究として行うことについて合意し、代表者は、分担者の主催する研究分野における客員研究員としての受け入れ承認を得た。これは、ほかの構成員である研究協力者(茨城県高次脳機能障害支援センター)と、想定される研究参加者の勤務地が1つの県に位置していることによる。参加者個々人への負担を最小限とすること、ならびに、得られたデータのセキュリティ対策において利があると考える。なお、実査に向け、筑波大学医学医療系医の倫理委員会の承認(承認番号:第1826号)を得て、時下1つの介護施設におけるインフォームドコンセントは完了している。 教育研修:教育研修第1回に使用する資料については、さいたま市障碍者更生相談センターの制作公表するもの(2022年11月23日使用許可取得)を採択した。既存のテキストと比較しても十分に分かりやすく、教材として信頼できると判断している。また、第2回に使用する資料については、国立障害者支援センターの公表する標準的リハビリテーションプログラム(公開資料の使用許可有り)を基に、既存の資料を組み合わせてプログラムを開発した点に独自性のあるものとした。演習に関しては、先述した立案のほか、研究班によるこれまでの研究成果に基づき「腰痛対策」に関連した案も掲げられているが、現在は検討下にある。 参加者:参加者へのリクルートは、これまでのところ23人の同意取得に留まる。この点につき、社会福祉法人にて就労する外国人介護職者40人を対象にしていることから(統計解析・数理上の判断と設定)、他の2つ以上の介護施設と継続して交渉をすすめている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、まず本研究への参加者数を増やすことを目的とした介護施設管理者への協力依頼に主眼を置くことになると考える。本研究成果の質の向上の観点から、協力施設の教育理念および参加者のもつ背景等のマッチングを検討し選定していくことが課題となる。研究班のこれまでの調査研究フィールド(主に北関東)では、それら不可欠な情報を把握しやすい。現在、茨城県の社会福祉法人の協力を得て、教育研修の第1回を完了しているが、複数の介護施設へ調査範囲を拡大する基準と生じうる問題点等に関しても再検討する必要があると捉えている。この点について、時下、研究班員と協議を進めているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の展開における効果と効率を促進するため、今回、本来所属の異なる研究代表(東京大学)と研究分担者(筑波大学)の活動拠点の一元化をはかったが、それに関連する必要事務手続きおよび研究倫理上の承認手続き等に想定以上の期日を要することなった。したがって、当初の計画にて使用経費に設定されていた項目が次年度へ移行することとなっている。 2023年度における研究活動は計画に則り既に開始・継続されており、この度の請求額はすべて、必要経費として充てることとなる。
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