研究課題/領域番号 |
22K02078
|
研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
加藤 大輔 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (00647604)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 当事者参画 / 精神障害者施設 / 職員評価 / クラブハウスモデル / クラブハウス国際基準 |
研究実績の概要 |
本研究は3年計画を予定しており、1年目の2022年度は「基礎研究」と位置づけ、精神障害者施設における当事者参画型の職員評価に関連する情報収集と実情把握を行うことに主眼を置いた。主に取り組んだことは、(1)国内の1ヶ所のクラブハウスが取り組んだ当事者による職員評価に関するデータ収集、(2)国内のクラブハウスを利用する当事者へのフォーカスグループインタビュー、(3)クラブハウス国際認証の受審における参与観察、の3つであり、具体的な内容は下記の通りである。
(1)日本クラブハウス連合に加盟する1ヶ所のクラブハウスが、2022年度に試験的に実施した当事者による職員評価で使用した評価表やその結果の概要が示されたデータから、その取り組みの把握を行った。 (2)日本クラブハウス連合に加盟している3ヶ所のクラブハウスの当事者と職員を対象に、フォーカスグループインタビューをクラブハウスごとで実施した(2022年6月~9月)。職員評価だけでなく、施設評価に関することも含め、当事者がクラブハウス運営等に参画する意味、可能性、課題などについて当事者と職員の生の声を収集した。 (3)日本クラブハウス連合に加盟している3ヶ所のクラブハウスが、2023年2月~3月にかけて「クラブハウス国際認証(Clubhouse International Accreditation)」を受審した。国際認証は、当事者と職員が共にクラブハウスの活動や今後の方向性を共有するものであり、職員評価とも関連するため、国際認証の雰囲気、プロセス、当事者の参画状況を把握するために参与観察を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以下の3つの理由から、進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
(1)2022年度は、当事者による職員評価をすでに実施しているオーストラリア(もしくはアメリカ)のクラブハウスに訪問し、情報収集や関係者からヒアリング調査をする予定であった(2022年度上半期)。また、情報収集の観点からアメリカで開催されたクラブハウスワールドセミナーへ参加する予定であった(2022年9月)。しかし、国内のCOVID-19に対する感染対策の影響もあり、海外渡航をすることは難しいと判断し、実行することができなかった。 (2)日本クラブハウス連合の関係者と当事者参画による職員評価に関するプロジェクトチームを結成する予定であったが、各クラブハウスとも国際認証に関する準備もあり、プロジェクトチームを組むことができなかった。しかし、日本クラブハウス連合が定期的に開催している会議には参加することができたため、国内のクラブハウスに関する情報収集はでき、職員評価に関する意見交換やヒアリング調査の実施へ向けたやり取りは行うことができた。 (3)COVID-19に対する感染対策も考慮し、クラブハウス以外の精神障害者施設へのアプローチ(当事者や職員へのアンケート調査、先駆的な取り組みを行っている法人や施設の視察等)が計画通りに実施することができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目の2023年度は「展開研究」と位置付けているが、1年目の「基礎研究」も意識しながら以下のことを軸に行う。
(1)世界各国で実践しているクラブハウスの取りまとめ役である「クラブハウス インターナショナル(本部は米国・ニューヨーク)」と連携を図り、職員評価を行っているクラブハウスの情報収集を行う。また、クラブハウス以外の国内外の職員評価に関連する実践や研究等に関する文献調査も行う。 (2)延期したオーストラリア(もしくはアメリカ)のクラブハウスへ視察訪問を行い、当事者による職員評価の取り組み状況を把握する(評価表などの資料収集、当事者や職員へのインタビュー)。 (3)国内の1ヶ所のクラブハウスが試験的に行っている当事者による職員評価の状況(意義、可能性、課題など)を把握するため、当事者と職員へのインタビュー調査を行う。 (4)当事者と共に施設や事業所の運営等を行っている精神障害者施設を視察し、当事者主体の活動、当事者参加による施設運営、当事者参画による職員の評価等についての実態把握を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
国内のCOVID-19に関する感染対策等の影響もあり、計画していた海外のクラブハウス視察訪問やクラブハウスワールドセミナーへの参加を断念した。そのため、旅費や通訳等の人件費の支出が生じなかった。 2023年度は国内のCOVID-19の感染対策等が大きく緩和されるため、延期したオーストラリア(もしくはアメリカ)のクラブハウスへ研究協力者(日本クラブハウス連合の関係者)と共に訪問し、ヒアリング調査を行う予定である。また、国内の精神障害者施設への訪問視察や関連学会へ参加し、積極的に情報収集を行う。 よって、2023年度は繰り越し分を含めた研究費を計画的に使用することができると考えている。
|