研究課題/領域番号 |
22K02087
|
研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
清水 朋美 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 病院 第二診療部(研究所併任), 診療部長 (90336561)
|
研究分担者 |
齋藤 崇志 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害福祉研究部, 研究員 (70922342)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 視覚障害 / 高齢者 / 介護保険 / ロービジョン / 介護従事者 |
研究実績の概要 |
昨年度得られた結果に基づき、今年度は介護従事者が望んでいる視覚障害者に関する情報について整理を行い、最終的に介護従事者が視覚障害について学習できるコンテンツの試作版を作成した。当初は、総論と各論に分け、「なぜ、高齢者の目の問題に着目する必要があるか?を理解する」と「目の問題を有する高齢者に対応する際の基本的な考え方を理解する」を総論の主軸とし、各論で「ロービジョンの高齢者に対する配慮・工夫の基本的な考え方を理解する」、「全盲の高齢者に対する配慮・工夫の基本的な考え方を理解する」、「視覚障害に関する地域資源とそれへのアクセスの方法を理解する」について、各論に盛り込んだ。しかし、結果的にボリューム過多となり、介護従事者の意見を求めた結果、「基礎編」と「実践編」の2部構成とし、各動画の時間は実用性も考え、20分程度を目指した。ロービジョンケアの専門家は、視機能の評価を重視し、視力と視野の結果を伝えがちであるが、そもそも視力の数値、視野の図を結果をして提示をしたとしても、介護従事者には専門外であり、理解が難しい現状があることも改めてわかってきた。つまり、全盲であれば、理解しやすいが、部分的には見えているが十分には見えていないロービジョンの状態は理解が難しいことがわかった。このため、見えにくさを可視化していく必要性も明らかになり、美術の専門職に協力を依頼し、見えにくさを可視化できる手段についても検討し、動画試作版に盛り込んでいくことにした。結果的に11名の介護従事者に試作版を最終確認してもらい、おおむね良好な回答を得ることができた。最終年度には、協力が得られる関連施設で勤務する介護従事者を対象とし、介護従事者に対する学習支援コンテンツの介入効果を検証していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内容構成、学習支援コンテンツに盛り込む内容の取捨選択で、予想外に時間を要したが、最終的には介護従事者の意見も繰り返し確認しながら、予定通りに介護従事者を対象とした学習支援コンテンツ試作版を形にすることができた。作成の過程で、全盲以外の見えにくさをクリアに説明するには、見え方の可視化が必要であることがわかり、美術の専門家の協力を依頼するに至った。当初、美術の専門家とのコラボレーションは予想をしていなかったが、眼科やロービジョンの専門知識を有さない介護従事者にとっては、見えにくさの可視化がロービジョンの理解を深める上でも欠かせないことがわかった。予想外のことはあったが、当初の計画通りおおむね順調に進展していると考えられた。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は最終年度だが、協力が得られる関連施設で勤務する介護従事者を対象とし、介護従事者に対する学習支援コンテンツの介入効果を検証していく予定であり、倫理審査を始めとした準備を進めている段階である。学習支援コンテンツが介護従事者にもたらす行動変容について調査を実施し、検証を行った上で、最終的に誰でもアクセスできるように一般に向けて動画公開を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、主に学習支援コンテンツの試作版をベースに内容推敲を行ったため、備品購入等を行うことがなく、次年度使用額が生じた。次年度の2024年度は、学習支援コンテンツを本格的に作成し、有効性を検証するため、動画制作や介入調査に必要な備品、外注等を中心に学術活動などに関する費用を見込んでいる。
|