本研究テーマ「健康な食行動を促進する「食の楽しみ」の解明と習得方法の検討」は,2022年度から始め,今年度は2年目であった。2年目は,1年目に行ったEpicurean eating Pleasure(美食家の食の楽しみ)尺度の日本語版尺度を用いた1) 美食家志向に関する研究を中心に,2) 食の楽しみに関する研究,3) 外食に関する研究の大きく3分野の研究を行った。1) 美食家志向の介入研究では,「美食家志向」の得点が低い者を対象に,5日間,昼食の色を数えて報告させるという介入を行い,美食家志向への移行を検討した(研究1)。また,下位尺度「美食家志向」を用いて,美食家志向と健全な食生活の心掛けの組合せによる4群(両方高群,どちらかが高群2群,両方低群)において,持続可能な食行動の実施を検討した(研究2)。2) 食の楽しみに関する研究では,昨年度調べた外食のメニュー名の修飾語を用いて,サラダのメニュー名を考え,サラダを好きでない大学生にどのメニュー名が魅力的かを調べた(研究3)。そして,成人を対象とした研究では,飲酒者の食に関するQOLを検討した(研究4)。3) 外食に関する研究は,2021年度,2022年度の研究データを用いて,適量注文を行っている者の食態度について検討した(研究5)。さらに,メニュー名の研究の際,収集した外食メニューの栄養成分のデータを用いて,外食メニューの1食あたりの食塩相当量を調べ,食塩相当量の多いメニューの特徴を調べた(研究6)。2024年度は,今年度,得られた成果を学会や論文として発表するとともに,既存のデータを再解析し,「食の楽しみ」の研究を深める予定である。
|