研究課題/領域番号 |
22K02108
|
研究機関 | 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
野村 真利香 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター, 協力研究員 (30453575)
|
研究分担者 |
山口 美輪 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター, 室長 (20721674)
西 信雄 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター, センター長 (80243228)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 持続可能で健康的な食事 / Planetary Health Diet / プラネタリー・ヘルス・ダイエット / サステナビリティ / SDGs / 栄養不良の二重負荷 / 消費者行動 / エシカル |
研究実績の概要 |
2019年にLancet誌で提唱された”Planetary Health Diet(プラネタリー・ヘルス・ダイエット:地球の健康的な食事)”は、持続可能で健康的な食事の実践モデルである。「2050年に向けて地球上の人口増加、気候変動や人類の生産活動の拡大を考慮し、人類が健康になるだけでなく地球への環境負荷も低い、全人類が目指すべき食事モデル」と説明される。具体的には1日の摂取エネルギーを2500kcalとし、野菜・果物・豆類などプラントベースで魚介類・全粒穀物を中心に卵・鶏肉・乳製品を任意とし、赤身肉とでんぷん質野菜の摂取を極力抑えるというものである。これは主に中高所得国の食生活自体の在り方を示し、「健康的な食事とはなにか」という命題に対して地球への環境負荷の視点が加わった新しい食生活の在り方で、今後の世界全体のフードシステム、栄養、食生活の在り方の議論の根幹を成す考え方となることが想定される。 本研究では、この新しい実践モデルに基づき、新しい日本人の食生活の実施可能性を提示する。最新の国際動向レビュー、国民健康・栄養調査の公開データ分析から日本人の”Planetary Health Diet”の現状分析を踏まえ、主研究としてインターネット調査によって日本の消費者の”Planetary Health Diet”実施可能性を明らかにする。本研究により、世界的に健康食として評価されている日本人の食事に「地球への環境負荷が低い食事」という新しい意味付けをして国際発信することを目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
関連する先行研究レビューや、国際動向をレビューし、その結果を和論文3本にまとめた(小児科臨床誌、臨床栄養誌、アグリバイオ誌)。また並行して国民健康・栄養調査2019年国民健康・栄養調査の食品群別平均摂取量とプラネタリー・ヘルス・ダイエットの国際標準値とのdiet gap(%)を年齢層別に算出し傾向を分析した結果を論文化して英雑誌に投稿した(Frontiers in Nutrition誌、4月発表)。2022年12月に東京で開催された国際栄養学会議(ICN2022)のシンポジウムにおいて、Planetary Health Dietを提言した研究グループのJessica Fanzo教授(ジョンズホプキンス大学)ととも登壇した。このように当初予定していた初年度の先行研究・国際動向レビューならびに現代日本人のプラネタリー・ヘルス・ダイエットの現状分析によって主題に関する概要把握は順調に進展したと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は日本人のプラネタリー・ヘルス・ダイエット実施可能性に関する質問票調査の実施を行う。またプラネタリー・ヘルスに関する学会ワークショップの開催、ならびに国際学会での発表も予定しており、知見の周知につとめる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2年目に予定しているインターネット調査について、1年目のレビューにより質問数が当初予定より増加すると考えられたため、その配分として確保したため。
|