今後の研究の推進方策 |
現在、Mal3Ara(Malvidin-3-O-arabinoside)とPet3Ara (Petunidin-3-O-arabinoside)の精製・単離を行っており、これら2種のRMS値が判明すると、分析ニーズの高いビルベリーやブルーベリー中の個々のアントシアニン含量だけでなく、総アントシアニン含量(合算値)をシングルリファレンスHPLC法を使って求めることが可能となる。これまでの結果より、本シングルリファレンスHPLC法は、現在推奨されている公的規格法よりも正確な定量値を得ることができることもわかっており、今後、総アントシアニン定量値の差異を様々な方法と比較することにより、さらなる有用性・妥当性を評価していく。 一方で、アントシアニンやフラボノイド類は様々な配糖体やアシル化体が存在するため、すべてのRMSを求めることは困難である。現在の研究において、アントシアニンは、5種類のアグリコン(Cya, Mal, Del, Peo, Pet)とそれぞれの3位に結合した3種類の配糖体(Glc, Gal, Ara)の計20種類のRMS値が揃う。多くのアントシアニンのRMS値の違いは規則性があるものの、一部は規則に従わない。おそらく立体的な構造が因子としてかかわっていると推測している。我々の研究室には、糖の結合位置が異なるアントシアニンも所持しており、様々な化合物のRMSを明らかにしていくことで、構造とRMSの相関を明らかにしていく。
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