研究課題/領域番号 |
22K02146
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
宮坂 靖子 金城学院大学, 生活環境学部, 教授 (30252828)
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研究分担者 |
青木 加奈子 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (30737531)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | デンマーク / ケア / ウエルビーイング / 子育て期 / 向シニア期 / ライフコース / サポートネットワーク / ジェンダー |
研究実績の概要 |
大きく分けて、①向シニア世代に対するインタビュー調査、②子育て世代に対するインタビュー調査、③住民間の交流促進を目的とした公的施設に対するインタビュー調査と見学、④大学生に対するケアとライフコースに関する意識調査調査を実施した。調査はいずれも、デンマーク第二の都市であるオーフス市内で、2022年10月~2023年2月の間に実施した。 ①のインタビュー調査のインフォーマントは9名。内訳は女性6名、男性3名、60代前半4人、同後半3名、70代前半2名、また、年金生活者は4名で、残りはパートタイム勤務、自営業、学生等であった。全員が法律婚(1名別居中)、8名に成人子、4名には孫がいた。孫のいるインフォーマントは子ども家族の育児支援を行っていた。②のインタビュー調査は1ケースのみであった。 ③は市の運営するコミュニティセンター(Folkehuset)であり、2施設でヒアリング及びフィールドワークを実施した。2022年4月にローカルセンターから改称され、それまでの高齢者中心の支援から世代間を超えた人々の社会活動とネットワーキングを支援する施設へと変化した。実際には、現段階ではなお高齢者の支援が中心であり、退職後の高齢者の孤独・孤立の防止に大きな役割を担っている。また、子育て世代、高齢者、障害者など多様な人々が多様な世代の人々と共に生活する多世帯住宅(Generationernes Hus)が一棟建設された。市の福祉政策は、多世代交流、インクルーシブ・コミュニティの形成を一つの重要なコンセプトとして進められている。 ④は、2022年2月にGoogle formsを用いて実施した。回収票は72票、内訳は、女性35/男性34/その他3、年齢は20代前半40名/20代後半31名/その他1名であった。将来の結婚意思のある者約76%、出産意思のある者約51%であり、パートナーシップ規範を継続しつつも出産・育児意識には変化がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
向シニア世代の予備調査はある程度の進展があったが、子育て世代の調査は遅れ気味である。一方、将来育児や高齢者介護などのケアを担う大学生に対するケアとライフコースに関する意識調査が実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
子育て世代と向シニア世代に対するインタビュー調査を継続し、本研究のリサーチクエスチョンである、デンマークにおける子育て世代、およびその親世代を含むシニア世代間のサポートネットワークの実態とその関係が各世代のウェルビーイングに与える影響についての実相を把握することに努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由は、研究分担者の本務校と実施中の研究の事情により、本調査を実施することが困難であったためである。研究分担者は主に、子育て世代調査を担当していたため、子育て世代調査のインタビュー調査は1ケースしか実施できなかった。当該助成金は、来年度に実施する調査研究の旅費と通訳謝金等に充当する予定である。
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