研究課題/領域番号 |
22K02152
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
山本 詩織 国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 任期付研究員 (40795291)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Listeria monocytogenes / バイオフィルム / 環境適応 / 細胞表面特性 |
研究実績の概要 |
バイオフィルム形成は微生物の環境への集団適応の一つであり、一度形成すると完全除去は難しく、その形成制御が必要である。食品衛生分野では、食品製造環境等におけるListeria monocytogenesのバイオフィルム形成による食品汚染を介したヒト健康被害が問題とされており、本菌の環境適応に係る分子基盤の解明が求められている。本研究では、L. monocytogenesの環境適応能力に係るゆらぎを明確化すべく、その一因子とされる細胞表面特性の変化を標的としたバイオフィルム形成への影響を明らかにすると共に、その制御を目指す。 本研究は、L. monocytogenesのバイオフィルム形成には菌株特異的形質が関与していることから、その一因子である細胞表層構造、特にタイコ酸構造と当該形成能の関係性を一貫的に解析し、これに影響する環境的・科学的因子の特定並びにその挙動・効果を検証する予定である。本年度は、細胞表面特性に伴う物理化学的性質とバイオフィルム形成能との相関性を明らかにするため、細部表層構造の壁タイコ酸組成と繰り返し構造が大きく異なる血清型1/2a及び4bのL. monocytogenes菌株を用いてクリスタルバイオレット染色法によるバイオフィルムの定量を行うと共に、シトクロムc結合アッセイによる細胞表面電荷、及びMicrobiol adhesion to solvents(MATS法)による表面疎水性を測定し、比較検討した。その結果、1/2a株に対して4b株のバイオフィルム形成能は低い傾向が認められた一方で、細胞表面電荷及び表面疎水性については血清型間での有意な差異は認められなかった。以上より、細胞表面電荷及び表面疎水性は血清型に非依存的であると共に、他の細胞表面特性がバイオフィルム形成能に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、細胞表面特性に伴う物理化学的性質として、細胞表面電荷及び表面疎水性とのバイオフィルム形成能の相関性を評価した。したがって、本研究は実験予定通りおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
血清型間では細胞表面構造、特にタイコ酸構造が異なることから、次年度以降ではタイコ酸構造―バイオフィルム形質間の関連性について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の後半は妊娠期間に相当し、Listeria monocytogenesによる身体への影響を鑑みた結果、実験中断期間が生じた。そのため、本年度中に実施できなかった研究に係る予算は、次年度での研究遂行の為に持ち越すこととした。
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