研究課題/領域番号 |
22K02157
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中村 真由美 富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (30401269)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 出生意欲 / 出生率 / 母娘関係 / 価値観 |
研究実績の概要 |
出生意欲の規定要因を検証するため、前回調査データ(女性を対象とした出生意欲についての調査データ、2015)の再分析を行い、American Sociological Associationのregularセッションで発表した。現在、国際学術雑誌に投稿中である。また、関連テーマの論文を国内雑誌で出版した。 日本における既存の研究では、出生の規定要因として経済的な要因がクローズアップされることが多い。しかし、出生意欲には経済要因だけではなく、価値観(母親業や子供に対する)が影響している。本研究は経済要因を統制しつつ、これらの価値観と出生意欲との関連を検証した。本研究の意義は、重要な社会課題である少子化の要因として、これまで見落とされてきた要因(価値観や母娘関係)を明らかにすることで、今後の施策に生かせることである。 現在までに得られた主な知見は以下のとおりである。女性の出生意欲(予定子供数)には、その母親との母娘関係が関わっている。自分の母親が母親業を楽しんでいたと答えた娘(回答者)は出生意欲が高い。また、母親が母親業を楽しんでいたかどうかには、母親の社会経済状況(学歴)、家事分担状況(役割葛藤)、就労状況についての満足度などが関わっていた。 学歴が高く、就労状況についての満足度が高く、役割葛藤のない母親は母親業を楽しんでいた傾向がある。さらに母が母親業を楽しんでいる様子を見て育った娘(回答者)は出生意欲が高く、子供について肯定的な価値観(子供はかけがえがない存在、子供は生活を楽しく豊かにする)を持つ傾向にある。さらに子供に対する肯定的な価値観を持つ回答者は出生意欲が高い。 まとめると、娘(回答者)の出生意欲には、価値観や(娘の目から見た)母の経験が影響している。母が母親業を楽しんでいる様子を見て育った娘は、子供に対する肯定的な価値観を持ち、出生意欲が高くなっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1年目に調査を予定していたが、予算が減額された関係で1年目に調査はしなかった。もともと調査は1年目~2年目のどこかの時点で実施する予定だったため、遅れているわけではない。また、1年目には前回調査のデータを再分析したことで、貴重な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目には、1年目の分析結果も踏まえて新たな調査を実施する。また、現在投稿中の論文の出版を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目がかなり減額されていたので、調査は2年目に実施することになった。しかし、そもそも調査については1年目でも2年目でも問題ないと考えていたため、全体の研究の進行には影響はない。
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