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2023 年度 実施状況報告書

褐変機構解明を目指したα-ジカルボニル化合物の動態に関わる制御因子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 22K02169
研究機関新潟薬科大学

研究代表者

能見 祐理  新潟薬科大学, 応用生命科学部, 准教授 (20614887)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードα-ジカルボニル化合物 / ガラクトオリゴ糖 / 3-デオキシグルコソン / メイラード反応
研究実績の概要

本研究は食品加工・貯蔵条件下におけるα-ジカルボニル化合物(α-DCs)の動態に関わる制御因子を同定し、褐変反応機構の解明と制御法開発に繋がる知見を得ることを目的とする。本年はガラクトオリゴ糖(GOS)を用いた検証を行った。GOSは4’-ガラクトシルラクトース(4’-GL)を主成分とする機能性素材であり様々な飲食品に添加されているが、GOS溶液の加熱によりα-DCsの一種である3-deoxyglucosone(3-DG)が多量に生じることが報告されている。そこで、GOSの加熱により生じる3-DGの形成メカニズムの解明を試みた。GOSの大部分はβ1→4結合で構成されているが、β1→3、β1→6結合をもつ異性体も少量含まれていることから、GOSを構成する糖の結合様式に着目して解析を進めた。αおよびβ1→3、1→4、1→6結合をもつ二糖(glucosyl glucose)の加熱処理によって生成されたα-DCsの継時変化を解析した結果、α1→3結合をもつnigeroseおよびβ1→3結合をもつlaminaribioseは他の二糖に比べ非常に多量のα-DCs、特に3-DGを生じさせることが明らかとなった。また、GOS溶液の加熱に伴い4’-GL以外の三糖の顕著な減少と1,4-β-galactobioseの増加が確認された。本実験で用いたGOSに、還元末端側にβ1→3結合をもつ異性体が含まれることが確認され、この異性体から生じたとされる3-DG生成量はlaminaribioseの加熱実験から予想された生成量と酷似していたことから、GOS中の還元末端側にβ1→3結合をもつ異性体が3-DG形成に大きく寄与したことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

GOSの加熱により生じるα-DCsの形成要因とそのメカニズムについて明らかにすることができた。また、既存のα-DCs分析システムを改良し、分析対象物質を拡張することができた。一方、α-DCsの捕捉作用が報告されている既存の食品成分を用いたα-DCsの制御についても検証をしたが、現時点で有効な方法は見出せていない。

今後の研究の推進方策

引き続きさまざまな反応パラメータを用いたモデル系および食品系にて反応全体を俯瞰した網羅的解析を進め、新たな因子の同定を目指す。同時に、α-DCs生成メカニズムを基にした制御法についても検証していく。また、これまでの成果を学術論文としてまとめ発表する。

次年度使用額が生じた理由

別の助成金をいただいた関係で、使用する機器や試薬などが一部重複していたため当初の予定より使用額が少なくなった。次年度は予定通り使用できると思われる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 食品化学・医学への応用に向けたメイラード反応の化学的研究2023

    • 著者名/発表者名
      能見 祐理
    • 雑誌名

      化学と生物

      巻: 61 ページ: 229-236

    • DOI

      10.1271/kagakutoseibutsu.61.229

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 食品の品質に寄与するメイラード反応産物の解析2023

    • 著者名/発表者名
      能見 祐理
    • 雑誌名

      香料

      巻: 298 ページ: 39-47

  • [学会発表] ガラクトオリゴ糖の加熱による3-デオキシグルコソン形成要因の解明2024

    • 著者名/発表者名
      安達 志哉、松本 均、能見 祐理
    • 学会等名
      日本農芸化学会2024年度大会
  • [学会発表] 乳製品におけるラクトース由来α-ジカルボニル化合物の存在と生成メカニズムの解析2023

    • 著者名/発表者名
      能見 祐理、穴澤 拓馬、新澤 佳純、田村 萌夏、松本 均
    • 学会等名
      日本食品科学工学会第70回記念大会

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公開日: 2024-12-25  

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