研究課題/領域番号 |
22K02179
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
竹下 温子 静岡大学, 教育学部, 准教授 (10412850)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 長期習慣的運動 / ライフスタイル / オーバートレーニング |
研究実績の概要 |
ライフスタイルを考慮した習慣的な運動の効果を調べる中で、長期間「毎日」運動を行っているEx群が、既報の運動の効果と相反する結果が得られていることに着目し、「長期間の習慣的な毎日の運動は、Over-training(OT)を引き起こす」という作業仮説を立て検証を行ってきた。昨年度は、OTに着目し、低栄養や酸化ストレス、筋萎縮といったOTの際に赤筋や肝臓で動きがみられる遺伝子の変化を確認した結果、長期間毎日運動を行っているEx群は、OTというよりも、運動が体に順応した可能性が強まった。 そこで、本年度は、運動による効果が報告されている、サイトカインに着目し、炎症性サイトカイン(IL6など)、抗炎症性サイトカイン(IL10など)や長期の運動で上昇すると報告のあるIL4について運動直後の血中の濃度を比較した。本研究は、自発運動であるため、運動量がピークに達する時間帯に採血し検討した結果、Ex群において、IL4の上昇傾向がみられた。しかしながら、本年度行ったEx群のデータは、本研究を進める上で得られてきたEx群の結果とは異なり、赤筋の肥大が確認され、運動の効果が得られる結果となった。 そこで従来のデータと本年度のデータを比較した結果、本年度のデータは12週以降の運動量が有意に高いことが明らかとなった(従来3.55Km/day VS本年度4.67Km/day; P<0.05)。よって、運動量別に3km未満を「低」、3~5k未満を「中」、5km以上を「高」の3群間に分けてサイトカイン量を検討した結果、Exの「高」群はEx「中」群、Ex-A「低」群以外の群で、IL4が有意に高い結果となった。従来の運動量と同程度のEx「中」群においては有意な差は見られなかった。Ex-A群(3日おきに運動)については、運動量に関係なく運動の効果として知らているIL6,IL10が有意に高まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今までEx群(毎日運動)に得られていたデータと異なったデータを得たため、方向性が変わってきた。そのため、計画とのずれが生じ、やや遅れ気味となっているが、あらたな視点を得ることができたため、今後はその視点に着目し、分析を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の検討結果から、毎日運動を行った場合、運動が体に順応し、低強度の運動量であれば、その効果が得られず、更に強い運動量であれば、効果が得られる可能性が強まった。つまりEx群のOTの可能性は完全に棄却された。これと比較して、3日おきに運動を行っているEx-A群は、毎日運動を行っているEx群と同程度の低強度の運動であっても、運動の効果が得られており、これらのことから、筋肉への刺激が運動の効果を得る上で非常に重要である可能性が示唆された。つまり、習慣的な適度な運動で運動の効果を得るためには、休息が重要という考えに至った。今後は、同じ群であっても、運動量別に比較・分析を行う。さらに、筋肉の質に着目した検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
6ヵ月の飼育期間を経て検討を行っており、腸内細菌叢のサンプルと選出するために必要なデータ分析が追い付いていなかったため、その分をR6年度に繰り越す形とした。現段階で分析に回すサンプルの選出が終わったため、R6年度に腸内細菌叢の分析依頼も含めて使用していく。
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