今年度は、大別してして2つの研究を行った。 第1に、教育法概念に対する原理論的アプローチである。具体的には「能力」「発達」という両概念に着目し、その解釈の刷新の可能性を検討した。前者については「能力」を「ケイパビリティ(capabirity)」と押さえてうえで、本概念が教育法解釈にいかなるインパクトを与えうるかについて考察するための基礎作業を行った。後者については、ヴィゴツキーないしはヴィゴツキーに依拠する「関係的発達論」について検討し、発達を個人に閉じたものではなく関係において生じるものとして把握した場合の、教育法的含意について検討に着手した。 第2に、現代の教育(法)状況についての理論的・実践的応答である。こども基本法の制定・施行は教育(法)状況に少なからずインパクトを与えるものである。この点につき、「子どもの権利論」の観点から検討した。
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