研究課題/領域番号 |
22K02217
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研究機関 | 東京未来大学 |
研究代表者 |
大橋 智 東京未来大学, こども心理学部, 講師 (00774217)
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研究分担者 |
矢野 善教 作新学院大学女子短期大学部, 幼児教育科, 准教授 (10848352)
遠藤 愛 星美学園短期大学, 幼児保育学科, 准教授 (80641745)
原口 政明 埼玉純真短期大学, その他の部局等, 准教授(移行) (80938788)
榎本 拓哉 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (90792713)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 遠隔支援技術 / 巡回相談 / コンサルテーション / 特別支援教育 |
研究実績の概要 |
日本特殊教育学会60回大会において、自主企画シンポジウム「遠隔支援技術を用いた特別支援教育巡回相談の展開①」を行い、4つの領域(幼児教育・小学校・通級指導教室・高等学校)における実践と、各フィールドにおける研究受け入れにあたっての懸念点や考慮すべき課題などの発表を行なった。大橋は遠隔支援技術を用いた巡回相談について、本邦における研究や実践を概観し、直接支援としてのカウンセリングや学生相談におけるガイドラインや医療機関におけるガイドラインなどを紹介した。また遠隔支援技術を用いた巡回相談の課題として、個人情報保護に関わる懸念点などを紹介した。 榎本は、幼児教育における遠隔巡回相談の実践を紹介し、公立園に比べ私立園では遠隔支援技術についての抵抗感は低いことや保護者などとの相談についても、事前の対面での相談を実施し、相談の方向性や意義などを共有することを課題として提示した。小川は小規模自治体における遠隔支援技術を用いた巡回相談の導入過程について発表し、学校と行政との間で巡回相談の意義や位置付けの齟齬の問題などを紹介した。遠藤は、通級指導教室におけるスーパーヴィジョンの不足やスタッフトレーニングとしての巡回相談のあり方から、遠隔支援技術を用いた巡回相談のあり方を示し、その課題を紹介した。矢野は、高等学校を対象とした巡回相談支援における遠隔支援技術の利用について、対面型の巡回相談との併用を行い、その手続きや意義について紹介した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究機関における人事異動の影響から、開始時期が半年遅くなり、各フィールドへの働きかけや遠隔支援技術を用いた相談の実施に時間をかけることとなった。結果的に、4つの研究フィールドのうち、3つの研究フィールドにおいて遠隔支援技術を用いた相談の試行的実施を行うことができた。 通常学級での遠隔巡回相談では、週1回の高密度な相談を行うことができ、相談者である教職員の満足度も高かった。通級指導教室での遠隔巡回相談では、2回の研修を遠隔形式で行い、通常の研修と同等の研修を行うことができた。高等学校における遠隔巡回相談では、対面方式の巡回相談を併用し、より効果的な支援を行うことができ、教職員の満足度も高かった。 課題として、特別支援教育を専門とするコーディネータなどの教職員のみならず、ICT担当である情報担当の教職員との連携の必要性や、学校側と相談員との間での情報交換のルート(教職員に業務用メールアドレスがないことがある)の検討など、人的、システムにおける環境整備の必要性が示された。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は3つの研究フィールドにおいて、通常学級における研究(保護者・教職員を対象とした巡回相談支援)、通級指導教室における研究(遠隔支援技術を用いたOJT型研修)、高等学校における研究(遠隔支援技術を用いた巡回相談と対面型巡回相談の併用型支援)を進める。 また当初初年度実施予定であった質問紙調査を共同研究機関とも実施する。 今年度研究成果を、特殊教育学会においてポスター発表3件、自主企画シンポジウム1件で発表し、査読付き論文として1本発表予定である。 ポスター発表では、3つのフィールドでの実践について、大橋、遠藤、矢野が分担し発表を行う。また自主企画シンポジウムでは、遠隔巡回相談の実践を行っている研究者と共に課題を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究機関の人事異動にともない開始が半年遅れたため、当初の計画から2年次の研究を先行して行った。そのため器具の購入などを先行して整備した。当初予算内で不足等の問題はなく執行された。
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