• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

18歳成年時代における生徒懲戒に関する研究-懲戒手続き過程への生徒参加の視点から

研究課題

研究課題/領域番号 22K02260
研究機関東京都立大学

研究代表者

竹原 幸太  東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (30550876)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード遊佐町少年議会 / コールバーグ / スカースデールオルタナティブスクール / 生徒自治 / 校則見直し
研究実績の概要

本年度は18歳成年時代に突入し、理不尽な校則の見直し等、子どもの意見表明・参加の促進が求められている中で、子ども参加・生徒自治を継続している先進事例の現地調査を通じて、生徒懲戒への生徒参加を進める上での基盤を検討した。
第一に、2003年より20年もの間、町全体で子ども参加を促し、主権者教育を推進している遊佐町少年町長・少年議員公選事業(通称、遊佐町少年議会)へ訪問し、少年議会事務局を担った歴代職員に子ども参加を支える職員・大人の役割についてインタビューを行った。併せて、少年議会導入を進めた前遊佐町町長に少年議会に込めた思いについてインタビューを行った。
第二に、2006年より、NPOシヴィル・プロネット関西と共同でピアメディエーション授業を導入してきた茨田高校及びシヴィルプロネット関西に訪問し、授業を担ってきた弁護士と教員にメディエーション教育を支える教員の役割についてインタビューを行った。
第三に、1978年より、コールバーグのサポートも得て、ジャスト・コミュニティを導入してきたニューヨーク州・スカースデール高校オルタナティブスクール(通称、A-school)へ訪問し、生徒と教員に生徒懲戒へ生徒が参加する公正委員会についてインタビューを行った。併せて、同校の元校長、卒業生、PTAメンバーにも、A-schoolのジャスト・コミュニティの教育的意義について、インタビューを行った。以上の子ども参加・生徒自治を育んでいる実践要素を分析しつつ、こども基本法、改訂生徒指導提要等、新たな子ども政策において、生徒懲戒の在り方がいかに位置づけられるかを検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

独立基盤形成支援の追加助成を受けたことから、当初の計画以上に研究を大幅に加速させることができた。
具体的には、追加助成を得ることで、遊佐町少年議会の現地調査(計2回)に加え、2年目に計画していたNPOシヴィルプロネット関西・茨田高校への訪問調査(計2回)、3年目に計画していたスカースデール高校・A-schoolへの訪問調査(計2回)を実施することができ、各実践に関わる文献調査も飛躍的に進めることができた。
また、こども基本法制定、生徒指導提要改訂の動きに即して開催された研究会・学会分科会等にも多数参加することができ、日本国内の子ども法政策に即して、本研究の位置づけを検討することができた。
それらの成果として、18歳成年時代の生徒指導の在り方について、日本社会病理学会『現代の社会病理』誌に論稿を発表しつつ、遊佐町少年議会のインタビュー調査を踏まえ、子ども参加を支える大人の役割について、日本子ども守る会付設児童問題研究所『児童問題研究』誌に投稿した。
併せて、社会事業史学会『社会事業史研究』誌の書評を通じて、コルチャックが目指した子ども共和国とコールバーグのジャスト・コミュニティに通底する哲学について検討した。さらにA-schoolのジャスト・コミュニティに関わる中間報告については、NPO子どもの権利条約総合研究所・第5回子ども参加研究会において、「ニューヨーク州スカースデールにおける教育懲戒と生徒の参加の権利-生徒の自主規律と教師の意識変革」と題して口頭報告を行った。

今後の研究の推進方策

次年度は本年度の現地調査を踏まえつつ、新たに次の点について検討予定である。
第一は、コールバーグ亡き後、ジャスト・コミュニティを担った教員たちのインタビューを踏まえ、日本国内でのジャスト・コミュニティに関わる先行研究で見落とされてきた実践要素を検討する。とりわけ、先行研究では文献調査が中心となっている限界性を指摘した上で、A-schoolの実践的意義と課題について検討する。
第二に、日米の国際比較的視座に立ち、A-school関係者、茨田高校関係者のインタビュー調査の分析から、生徒懲戒への生徒参加に関する意義と課題について検討する。
第三に、国内の教育関係誌等を手がかりとして、こども基本法、改訂生徒指導提要が、子ども参加、とりわけ生徒懲戒実践に与える影響と課題について検討する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響を受け、ニューヨーク調査での通訳者を確保することが困難であったため、次年度使用額が生じた。この分については、引き続き、ニューヨーク調査にかかわる経費で使用予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 誰のための生徒指導なのか?-修復的正義・実践の視点から2022

    • 著者名/発表者名
      竹原幸太
    • 雑誌名

      現代の社会病理

      巻: 37 ページ: 43-58

  • [雑誌論文] 書評 大澤亜里『ヤヌシュ・コルチャックの教育実践-子どもの権利を保障する施設養育の模索』2022

    • 著者名/発表者名
      竹原幸太
    • 雑誌名

      社会事業史研究

      巻: 62 ページ: 155-160

  • [学会発表] ニューヨーク州スカースデールにおける教育懲戒と生徒の参加の権利ー生徒の自主規律と教師の意識変革2022

    • 著者名/発表者名
      竹原幸太
    • 学会等名
      子どもの権利条約総合研究所第5回子ども参加研究会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi