研究課題/領域番号 |
22K02264
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
阿比留 久美 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30454002)
|
研究分担者 |
南出 吉祥 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (70593292)
原 未来 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (90760603)
滝口 克典 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (50971727)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 小規模若者支援団体 / 助成金 / 活動の継続 / 代表者に課せられる責任 |
研究実績の概要 |
小規模若者支援団体は、運営者が出会った若者のニーズに応えるかたちで活動を展開していることが多い。個別具体的な課題に応えるという小規模若者支援団体の特徴は、かれらがニッチな課題に応えるという役割を果たしていることを示している。そのため、かれらの活動は多様で、独自性をもつ。そのことは、似たような活動をしている団体をみつけづらいという側面ももつものであり、活動を継続していく際の情報交換やリソースの獲得、ネットワークの形成を困難にする面がある。小規模若者支援団体は、オリジナリティある活動ゆえの難しさをもつが、小規模で団体にかかわる運営者が少ないために相談する相手も限られてしまうことは少なくない。 柔軟な対応・活動を実施している点に魅力があるものの、小規模であるがゆえに、代表者が活動方針や内容の決定の責任を単独で負わねばならなかったり、支え合う同僚を得ることが難しい側面がある。代表者を支えるネットワークや存在が重要であり、団体外部にそのような存在を得られるかどうかが、代表者のバーンアウトを防ぐ重要な要素になる。外部とのつながりにより支えられていても大きな物理的・精神的負荷が代表者に課せられてしまうという状況自体に変わりはなく、その点にどのように対応しうるかは現在ではまだ見えていない。 また、やってくる若者のニーズに応えるかたちで大規模な助成金を取得し活動を拡大することもあるものの、そのような助成金は数年で終了するため、大規模な助成金を獲得することが、かえってその後の活動の継続を困難にする側面もみられる。 当初の思いを大事にして活動を継続していくことと、変わりゆく若者や運営者の関心やニーズに応えていくこととは時に対立する面があり、その点についてどのように折り合いをつけうるかは今後の検討課題である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、研究代表者がサバティカルにより日本を離れたため若干当初の予定よりもヒアリング件数は少なくなったものの、小規模若者支援団体を運営している実践者の方にお話をうかがい、知見を深めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、さらにヒアリング調査を実施し、調査の結果見えてきた若者支援団体のもつ強みと、その強みを生かすことの障壁となる課題をあきらかにしていく。 大規模な若者支援団体と比較した時の強みが、(地域)社会にとってどのような意味をもつのか、ということを明らかにする。 活動継続を支えていくために必要な要素は、大規模な若者支援団体と小規模な若者支援団体とでは異なるという点がみえてきているので、必要なリソースや方法についても分析していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に研究代表者がサバティカルを取得することとなった。本研究は日本の若者支援団体を研究対象にしているため、代表者が日本を不在にすることで調査件数が減ったため、次年度使用額が生じた。
|