研究課題/領域番号 |
22K02289
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
杉原 薫 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (60610897)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 教育史 / ドイツ / 子ども / 医学 |
研究実績の概要 |
本研究は、20世紀初頭ドイツにおける貧困児や孤児、捨て子、浮浪児、被虐待児といった「保護を必要とする子ども」への医学的介入のありかたに関する子ども史研究である。具体的には、1907年にベルリンに開設された「ドイツ児童保護センター(Deustche Zentrale fuer Jugendfuersorge)」による児童保護に関する取り組みに焦点を当て、「保護を必要とする子ども」への処遇における医療の介在について一次史料や同時代文献を使用しながら考察することを目的としている。 この目的を達成するために、令和4年度に取り組む予定にしていた研究課題は、「医学における小児科学の確立と社会衛生学の登場プロセスについての解明」であり、主に小児科学の誕生と発展に焦点を当てて、研究を進めてきた。小児科医による著作物等を読み解いていくことにより、ドイツでは19世紀末から20世紀初頭の時期に乳児死亡という国家的問題を解決する方途のひとつとして小児科学が登場してきたこと、それまでは存在しなかった小児向け病院が設立されたことなどが明らかとなった。また、小児科学の誕生時期は、医学の細分化の時期とも重なることが確認できた。 また、病気における社会的要因を重視する社会衛生学においても乳児死亡や出生減少が大きな関心事であったことが明らかとなった。しかしながら、社会衛生学がその後どのように発展し、児童保護といかなる接点を持ったのかについては明らかにするには至らなかったので、次年度以降の課題としたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究課題である「医学における小児科学の確立と社会衛生学の登場プロセスについての解明」については、社会衛生学の発展についてさらなる解明が必要ではあるが、それ以外の観点については「おおむね順調に進展している」。
|
今後の研究の推進方策 |
6月13日~23日の予定でドイツのベルリンに史資料収集に行く予定にしており、そこで得られた史資料をもとに年度末までに中間まとめとなるような論稿を執筆する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、本年度にドイツへの史資料収集を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、渡航を延期したため、次年度使用額が生じた。なお、この未使用額と次年度分の助成金をあわせて、ドイツへの史資料集への渡航滞在費として使用する予定である。
|