研究課題/領域番号 |
22K02290
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
塚原 健太 琉球大学, 教育学部, 准教授 (00782426)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | カリキュラム / 教科研究 / 低学年教育 / 東京女子高等師範学校附属小学校 / 浅黄俊次郎 / 教師の能力形成 / 生活教育 |
研究実績の概要 |
世界的に進行しているコンピテンシー・ベースのカリキュラム改革は、教科の枠にとらわれないカリキュラム編成を推し進めるとともに、教科のあり方に問い直しを迫っている。こうした動向にあって、カリキュラム開発の主体としての教師には、既存の教科内容を編成するのではなく、教科の本質を洞察し、子どもの文脈に即して教科そのものを再構成していく能力が求められており、それがいかに可能なのかを追究する基礎研究が急務である。本研究は、大正新教育期にカリキュラム改革を行った小学校とその教師たちが、実践課題と欧米新教育の情報との相互作用によって展開した共同的なカリキュラム改革における教科研究と、そこでの教師の成長過程を考察することで、教科への本質的な洞察を基礎としたカリキュラム開発とそれを実現する教師の能力形成の普遍的な要件を解明すること を課題としている。 この課題に基づき、2023年度は、東京女子高等師範学校附属小学校(東京女高師附小)の浅黄俊次郎の低学年教育における教科研究を事例に検討を進めた。具体的には、彼の研究過程を全校の研究態勢に位置付けながら検討することにより、教科の枠を超えたカリキュラム改革に取り組む経験が、教科カリキュラム研究に与えた影響を明らかにすることを課題とした。その結果、浅黄は「生活教育」を、山形師範附小時代においては、子どもがありのままに営んでいる姿に即した教育を説明する概念として、東京女高師附小時代においては、直観から発表の一連のプロセスを繰り返すことによる活動の連続的発展のプロセスを学習として捉える概念として用いていたことが明らかになった。こうした「生活」概念の転換をもとに、国語科カリキュラムを児童の活動の連続的発展における内的な要求に即して編成することを構想していたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家庭の事情や国内外旅費の高騰などにより、予定していた調査が十分に実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度実施できなかった調査を含めて、2024年度に東京都、山形県、愛知県での調査を実施する。また、これまでの研究成果を中心に論文執筆を行うことにより、知見の整理・統合に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
家庭の事情や国内外の旅費高騰などにより、予定していた国内外の調査が実施できなかった。当該調査を含め、2024年度に調査を実施する。
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