研究課題/領域番号 |
22K02308
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
内田 純一 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 教授 (80380301)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 相互発達 / 地域づくり / 社会教育 / 状態調査 / 公民館 / 発達援助専門職 / ケアー / 療育 |
研究実績の概要 |
本研究は、地域における相互発達機能の創出の論理を実践的に明らかにしようとするものである。具体的には、社会福祉法人ぷらうらんどが設置・運営する「ぷらうらんどKominkan」の実践を手掛かりに、①「人間発達」概念の捉え直し、②「療育」に「教育」の視点を加えた担い手(発達援助者)の養成、③職員・保護者・地域住民「状態調査」による学習を通した「相互発達機能」の検証を行う。 ①に関しては、先行の文献研究及び職員との共同学習を繰り返すなかで、従来の教育学が追求してきた「発達段階説」や政治経済学分野で求められる社会変革主体論とは異なり、人間の弱さや足りなさ、依存性を理解し合い、補い合い、力を合わせる「ケアー」によって、その強さを獲得し合う「協働実践的な成長関係」を「人間発達」概念を構成するものとして捉え直すことが出来た。 ②に関しては、日々の技術的療育実践を上述の発達概念に即して省察していくなかで、療育的に正当化された知を、地域社会に暮らす子ども、保護者、住民の具体的な可能性から読み解き、人間に対する柔軟で深い尊厳をもたらす社会的に正当化された知へと深化させていこうとする発達援助集団としての様子が見られるようになってきた。 ③に関しては、相互発達を促す生きた学習とも称される「状態調査」における方法論の先行研究とともに、上述①②の共同学習の成果を踏まえ、調査の実践母体でもある社会福祉法人ぷらうらんどの協力者と調査設計に関する継続的な協議を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画における①「人間発達」概念の捉え直し及び②「療育」に「教育」の視点を加えた担い手の養成に関しては、概ね計画通り進んでいるが、③職員・保護者・地域住民「状態調査」による「相互発達機能」の検証については、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から1年目に予定していた職員を主体とした調査の実施が出来ていない。2年目に予定している住民を主体とした調査と合わせて実施していく方向を考えたい。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで同様、研究フィールドである対象地域及び「ぷらうらんどKominkan」の活動に頻繁にかかわりながら、まずは1年目に実施できなかった職員を主体とした状態調査を早急に実施するとともに、2年目の住民を主体とした調査の準備を進め、可能であれば実施していきたい。3年目はまとめの年でもあり、状態調査の結果を職員・保護者・住民へフィードバックしながら相互発達の地域づくりの協働実相を進めていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から参加学会への旅費及び1年目調査の未実施に伴う人件費・謝金の一部に残額が生じ翌年分に計上したため
|