研究課題/領域番号 |
22K02314
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
杉浦 由香里 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (90734111)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 地方教育行政 / 指導監督機関 / 教育事務 |
研究実績の概要 |
本研究は、明治前期における地方教育行政の形成過程を明らかにすることを通じて、地方教育行政をめぐる諸問題(教育行政の専門性と民衆統制、教育の内的事項・外的事項の事務配分)の原型とその歴史的性格を明らかにすることを目的としている。特に、教育に対する指導監督の必要がどのように認識され、いわゆる教育の内的事項・外的事項をめぐる教育事務の分配が歴史的にどのように問われつつあったのかを府県の地域史料に基づき明らかにすることを目指している。 2022年度は、先行研究の収集と読解を集中的に行なった。先行研究をもとに、各府県が独自に設置した指導監督機関の設置状況について、文部省年報、文部省日誌ならびに府県教育史の確認作業を行い、全国的動向を整理した。学区取締から学務専任の郡書記、小学督業、その他の指導監督機関の設置は府県によって状況が大きく異なることが明らかになった。ここから、指導監督機関の設置に関する地域資料が残存していると見込まれる府県の資料調査に着手する準備を整えることができた。 また、指導監督機関を設置した府県の公文書館または図書館や博物館等における県会議事録や地域新聞、地域の教育雑誌、その他役場文書等、地域資料の保存状況調査に着手することができた。これらの予備的調査をふまえて資料調査を実施していきたい。 さらに、戦後教育行政学における内的事項・外的事項区分論の理論的整理を行い、教育事務の歴史分析を行うための視座を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画で示したとおり、初年度は、関連する先行研究の収集と読解に集中して取り組むことができた。また、文部省年報や文部省日誌、府県教育史等の基礎資料を整理することを通じて、先行研究の到達点や課題を把握することができ、次年度から着手すべき調査の方向性を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
指導監督機関の設置に至った府県の地域資料の収集に着手する。また、収集した資料の読解・翻刻作業に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症拡大のため、学外における資料調査を実施することを自粛したためである。次年度から本格的に資料調査を実施するため、出張旅費として活用したい。
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