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2023 年度 実施状況報告書

東南アジア・ムスリム社会における「学校化」の教育社会史:植民地期の教育言説と女性

研究課題

研究課題/領域番号 22K02335
研究機関上智大学

研究代表者

久志本 裕子  上智大学, 総合グローバル学部, 准教授 (70834349)

研究分担者 服部 美奈  名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (30298442)
鴨川 明子  山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40386545)
山口 元樹  京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (60732922)
坪井 祐司  名桜大学, 国際学部, 上級准教授 (70565796)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード植民地 / 女子教育 / イスラーム / マレーシア / インドネシア / イギリス / オランダ
研究実績の概要

今年度の研究では植民地期の教育の展開についてより広い視点から考えるための資料を集めること、また女子教育の展開を考えるうえで、現在のマレーシア・インドネシアにおけるジェンダー観の特徴とその変化、現代までを含む学校や大学におけるジェンダー間関係の在り方など女子教育を取り巻く様々な条件を明らかにし、整理することを目的とした。
まず、歴史資料についてはマレーシア・オランダに出張し(渡航費には他の研究費を含む)、植民地期から独立に至る時期の資料収集を進めた。また、現代までを含む女子教育を取り巻く諸条件の調査については、久志本・鴨川がマレーシアにおける調査で大学における教員と学生にジェンダーによって異なる認識や態度があるのかについてインタビューと参与観察を行った。この結果、マレーシアの学校におけるジェンダー差の文化的特徴は、学校という制度とそこにおける教師の役割と密接につながっているのではないかという発想に至った。植民地期からのその形成を考えるには、「女子教育」という枠組みを超えて、そもそも「教師」の役割がどのように位置づけられてきたのか、学校教育普及の各段階において誰が「教師」としての役割を担い、そうした人々がどのような存在としてイメージされてきたのかを探る必要がある。そのうえで、そこに「女性教師」がどのように位置づけられ、またイメージされるようになったのかが、「女性には教育が必要である」という言説の形成と大きく関係していると考えられるのである。この点について来年度以降の研究で明らかにしていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各自の研究についてはおおむね順調に進展しているが、他の研究費との兼ね合いで予算が予定通り執行できていない部分がある。

今後の研究の推進方策

2024年度は各自の海外出張による文献収集とその分析を引き続き行うとともに、研究会を2023年度よりも頻繁に行い、各自の成果をすり合わせる作業を進める予定である。研究組織はマレーシア班インドネシア班、あるいは教育学班と歴史学班という二つの分け方で分けることができるが、班の単位で共通の関心事項となる本を選んで読書会を行い、資料収集から得られた成果の解釈に役立てるといった活動を予定している。会合はオンラインを基本とするが、2024年度中に少なくとも1度は全員を対面で集めての研究会を実施したい。また、成果発信に向けて、年度末をめどに公開の研究会を行い、研究班以外の研究者からフィードバックを得て来年度の研究につなげる計画である。

次年度使用額が生じた理由

本研究課題の海外出張用の予算を使用して資料収集、現地調査を実施する予定であったが、他の研究費による渡航時に合わせて要務を遂行できてしまったため、海外出張の旅費に大幅な余剰が生じた。これについては、今年度山口がオランダ出張、久志本がイギリス出張を予定しているため、これらの出張で使用する予定である。また、出張以外の費用については、収集した資料の分析にかかわる人件費、謝金に余剰があるため、資料の言語に詳しいアルバイトを雇用して作業を進める予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Reconciling Islam with Indonesian Nationalism: Acceptance of the Arab Middle Eastern Influence During the Dutch Colonial Period2024

    • 著者名/発表者名
      Yamaguchi Motoki
    • 雑誌名

      Die Welt des Islams

      巻: 1 ページ: 1~30

    • DOI

      10.1163/15700607-20240004

  • [雑誌論文] 書評と紹介 長沢栄治監修『イスラーム・ジェンダー・スタディーズ』第3巻:服部美奈・小林寧子編著『教育とエンパワーメント』2024

    • 著者名/発表者名
      山口元樹
    • 雑誌名

      『イスラム世界』

      巻: 100 ページ: 117-128

  • [雑誌論文] Muslims’ Vision of an Islamic State During the Decolonisation of Southeast Asia2023

    • 著者名/発表者名
      Tsuboi Yuji
    • 雑誌名

      MSC13 E-Proceedings: The 13th International Malaysian Studies Conference

      巻: 2 ページ: 336-354

  • [学会発表] socio-cultural contexts of reverse gender gap in Higher Education in Malaysia2023

    • 著者名/発表者名
      KUSHIMOTO Hiroko, Noor Azmira binti Amran
    • 学会等名
      26 July 2023 International Workshop “Better Together: Female Alliance & Empowerment in Contemporary Malaysia”, Centre for Southeast Asian Studies, Kyoto University
    • 国際学会
  • [図書] イスラームからつなぐ3 翻訳される信頼2024

    • 著者名/発表者名
      野田仁 編、矢島洋一、中西竜也、嘉藤慎作、和田郁子、濱本真実、坪井祐司、髙松洋一、高野さやか
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      東京大学出版会
  • [図書] 東南アジアのイスラームを知るための64章2023

    • 著者名/発表者名
      久志本裕子・野中葉
    • 総ページ数
      404
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      4750355240

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公開日: 2024-12-25  

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