研究課題/領域番号 |
22K02355
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
星野 洋美 常葉大学, 教育学部, 教授 (50267845)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 多文化共生 / 外国につながりのある子ども / 市民協働プロジェクト / キャリア教育 / 将来設計 / 学校・保護者・地域の連携 / アイデンティティ / 家族と家庭生活 |
研究実績の概要 |
1)主に言語とアイデンティティに関する課題を将来設計に係る課題と捉え、解決につながるキャリア教育教材を作成し、それを活用して初期支援を受けている外国につながりのある子ども約20名を対象にプログラムを実践し聞き取り調査を実施した。また、その結果および成果と課題を明らかにし、日本家庭科教育学会大会(2023年7月)で発表をした。 2)1の成果と課題を踏まえてプログラムの修正を行い、外国につながりのある子どもに配慮するとともに日本人や多様な子どものキャリア支援に活用できる教材を再編した。そして、言語とアイデンティティに関する課題を解決するためには、小学校段階で実施する必要があると考え、小学校5・6年生の5学級での授業で教材を用いたプログラムの実践、および児童と保護者に記述による調査を行った(7-2月)。この結果については、家庭科教育学会大会(2024年7月)で発表を行う(採択済)。 3)市民協働プロジェクトにおける共生に関する課題解決の為のプログラム実施(前年から2023年6月までの取組)の調査結果等について、日本学習社会学会大会(2023年9月)で発表した。また、2023年度のプログラム実施は8回であった(4月-3月)。 4)言語とアイデンティティに関する課題と共生意識に関する課題の双方の解決に対応した新プログラムを作成した。2024年1-3月に静岡県菊川市において、日本人及び外国人住民を対象に新プログラムの実践を試み、参加者対象の聞き取り調査を実施した。結果、及び成果と課題については、学習社会学会大会(2024年9月)での発表を予定している。 5)まとめ:実践及び調査の結果等は、日本家庭科教育学会(7月)、日本学習社会学会(9月)で発表した。調査や試行的実践の結果等は、紀要(1件)に掲載済みである。現在、投稿予定2件(内1件は申請済)、発表2件(内1件は採択済)となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の計画通りに実践及び調査研究が進んでおり、調査結果を反映して教材やプログラムの改善ができ、次年度への準備が調っているからである。 具体的な内容は以下の通りである。 ・小中学校や自治体の協力を得て、実践的取組ができ、調査についてもご協力いただき、汎用性のある教材作成にじっくりと取り組むことができた。また、NHK for Educationの協力も得られ、教材の他言語翻訳等の拡大及び、授業案作りが格段に進んだ。 ・教育関係者・保護者・地域住民(日本人住民と外国人住民)で構成する市民協働プロジェクトの皆様の多大なるご協力を得て、課題解決に有効なプログラムを考案し、実践を行い、その成果と課題について明らかにすることができ、2つの学会にて研究発表、紀要の掲載に至った。また、6月に紀要への投稿、7月と9月に学会発表が予定されている。
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今後の研究の推進方策 |
1)キャリア形成に関する課題に対応したプログラムについては、計画案にある「実施後の面接調査」を前年度の試行的実践の際に既に行っており、その結果から内容をより充実させ汎用性を高めていっているので、次の段階として中学生以上を対象に将来設計およびキャリア支援に有効となるよう作成した教材を活用したプログラムを試み、検証を行っていく。 2)検証により得た調査結果や、これまでのプログラム参加者や教育関係者の評価を基に、小中学校で汎用可能な手引書(教材や指導案など)を作成する。完成した教材等は県内の関係機関を中心に配布、あるいはWEBを利用して活用できるようにしたいと考えている。 3)将来設計およびキャリア支援に対応した教材を活用したプログラムをブラッシュアップさせて、ライフキャリアの充実や共生意識の向上(日本人住民と外国人住民の相互理解と相互支援)に有効なプログラムを作成し、実践や調査を行い、結果を公表するとともに、次段階の多文化共生社会におけるライフキャリア形成を目指した取組に関する実践的研究を行っていく所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、外国につながりのある子どもたちの教育支援の一環として、将来について考えることのできるキャリア教育の教材を作成することを目指している。外国につながりのある子どもとともに彼らの保護者も一緒に考えることができる教材にするために、外国語の翻訳を付けることが必至となっていることから、まず対象地域において必要度が高い順に複数の外国語の翻訳作業を実施した。その際、作成開始時期が年度末間際であったことで次の年度はじめまでかかった上に、校正も含めた報酬(本学の規定に則った額)が該当年度の経費を若干オーバーしたため、次年度に入ってから、前年度からの繰り越しと次年度の経費から支払を行う必要が生じたからである。
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