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2023 年度 実施状況報告書

移民の統合の観点からみた中国出身者の階層的地位と社会関係の形成に関する実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K02368
研究機関県立広島大学

研究代表者

増田 広美 (植村広美)  県立広島大学, 地域創生学部, 教授 (10614000)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード多文化共生 / 中国系移民 / 移民の社会統合 / 学業達成
研究実績の概要

本研究では移民のなかでも従来、必ずしも分析の対象とはならなかった中国出身者に焦点をあて、「統合」の観点から社会経済的統合について考察することを目的としている。
1年目に引き続き、今年度においても外国にルーツをもつ子どもを対象とした学習支援を実施し、その過程において日本語運用力、学業成績や学業上の躓き状況、依拠する仲間集団等に関する聞き取り(半構造化面接)、及び参与観察を行った。
その結果、日本生まれの二世や三世であっても外国にルーツをもつ子どもの多くが日本語運用上の課題を抱えていることが分かった。母語をほとんど話すことができず、日本語だけで生活しているにも関わらず、中学生になっても「主人公」や「あらすじ」などの言葉の意味が分からず、日常生活上の語彙は習得できているとしても、学習思考言語は獲得できていない子どもが多い。また、この傾向は漢字圏である中国出身の子どもも同様であった。
また、二世、三世の子どもとなると母語があまり話せないため、出身国の言語・文化に親和的な親族コミュニティなどエスニック文化の仲間集団には入れず、日本の子どもで構成された主流文化や多文化の仲間集団にも入ることができず、包摂されるコミュニティがないまま、社会的に排除された状態にある子どもの存在も明らかになった。
今後の課題としては、子どもだけでなく保護者も対象にした調査を実施し、複眼的に実態を把握することを試みたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1年目において、新型コロナウイルスによる影響があり調査研究の停滞を余儀なくされたため、その影響を受けている。また、コロナの期間を経て、外国にルーツをもつ子どもが自宅から出て、社会的な居場所へアクセスしなくなったことも影響している。

今後の研究の推進方策

R6年度以降、調査研究の遂行にあたり社会的な制約はないとの見通しの下、行政や学校とも連携しながら外国にルーツをもつ子どものための居場所づくりに励み、その過程において従来の計画に沿って研究を進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

円安などの影響から、外国出張の旅費が当初の見通しとは異なり、次年度へ少し繰り越す形になってしまった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Education of Migrant Children in Japan2024

    • 著者名/発表者名
      Hiromi Masuda
    • 学会等名
      The IAFOR International Conference on Arts & Humanities in Hawaii
    • 国際学会
  • [学会発表] これからの中山間地域の多文化共生2024

    • 著者名/発表者名
      植村広美
    • 学会等名
      県立広島大学多文化共生社会研究センター主催「中山間地域の多文化共生の今後」におけるパネリスト
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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