研究課題/領域番号 |
22K02369
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
シム チュン・キャット 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (60721446)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | グローバルキャンパス / 外国大学分校 / 高等教育 |
研究実績の概要 |
研究計画通りに、2023年度は引き続きこれまでの研究調査方法を用いて、日本におけるケーススタディに加え、韓国の「一つ屋根型グローバル大学キャンパス」の現状およびその課題も明らかにすることに努めた。 まず前年度と同様に、日本の「一つ屋根型グローバルキャンパス」では、日本の大学と外国大学分校(International Branch Campus、以下IBC)が共に立ち上げた「グローバル学術研究会」の会合に研究協力者とともに複数回参加し、その都度その場で展開されたディスカッションや共有された課題の解決に向けた合意形成を記録しフィールドノートを作成した。また、研究会のイベントにも協力して、積極的な参与観察を行った。さらに「一つ屋根型グローバルキャンパス」に関わりの深い複数の教員へのインタビューも実施した。 一方、韓国では、国や自治体による強力な支援を受け、IBCだけが集まるグローバルキャンパスで一週間に渡り、数校のIBCにおいてディスコース分析や参与観察を行いつつ、教職員、卒業生および学生を対象としたインタビューも実施した。 以上の調査で得られた知見に基づいて、2023年12月に明治学院大学にて行われたAnthropology of Japan in Japan (AJJ学会)で研究成果の発信を始めた。また、下記の「今後の研究の推進方策」にもある通り、調査を通して得られた知見が増えるにつれ、今後はより多くの国外・国内の学会で研究成果を広く発表していくことを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大学における報告者の校務が多忙であったこともあり、何より近年の中国の大学側の諸事情により、当初の研究計画にあった中国での現地調査が難航している。その代わり、中国の大学における「一つ屋根型グローバルキャンパス」に関する文献調査を積極的に行った。 しかし韓国では、逆に当初予定していたグローバルキャンパスでの調査以外にも「一つ屋根型グローバルキャンパス」ではないものの大学のグローバル化を積極的に進めている現地の国立大学および私立大学の取り組みを調査することもできて、両者の違いを比較することができた。 さらに、当初の計画よりも早く研究成果の発信ができたため、他の研究者からも貴重な意見が得られ、調査観点の整理および調査対象の再考につながった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、研究計画通りに、研究代表者と協力者の研究ネットワークを用いて、日本での研究調査を継続しながら、今度はシンガポールを中心に東南アジアにおけるグローバル大学キャンパスの現状と課題を探究していく。また、上述した通り、中国における現地調査が難しくなった今、現代中国の高等教育について調査を行った研究者へのインタビューを実施しつつ、新たなネットワークを用いて現地調査の可能性を探る。 なお、この報告を書いている現時点で、以下の学会発表の申し込みはすでに完了しています: ・2024年6月、The 10th Annual Conference on Global Higher Education@Lakeland University-Japan ・2024年6月、日本比較教育学会第60回大会@名古屋大学 ・2024年8月、The 7th Asia Future Conference (第7回アジア未来会議)@Chulalongkorn University-Bangkok (学会発表前はシンガポールの大学で、発表後はタイのバンコクとチェンマイの大学で調査実施)
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次年度使用額が生じた理由 |
・日本国内の調査に加え、シンガポールを中心に東南アジアにおける現地調査の実施に伴う旅費、謝礼とその他の諸費用 ・国外・国内の学会参加および研究成果の発表に伴う旅費とその他の諸費用 ・調査に必要な文献、資料および物品などの購入
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