研究課題/領域番号 |
22K02384
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研究機関 | 聖学院大学 |
研究代表者 |
大橋 良枝 聖学院大学, 心理福祉学部, 教授 (50787702)
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研究分担者 |
足立 智昭 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (30184188)
平野 幹雄 東北学院大学, 教養学部, 教授 (20364432)
柴田 理瑛 東北福祉大学, 総合福祉学部, 講師 (20589775)
西村 馨 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (70302635)
脇谷 順子 杏林大学, 保健学部, 教授 (50711561)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 愛着 / 支援者支援 / 多職種連携 / AMBIT / メンタライゼーション / 投影性同一化 |
研究実績の概要 |
アクションリサーチとして、仙台市内の保育所に継続的に訪問し、本研究が問題とする臨床的課題に合致した園児の観察、保育者へのコンサルテーションを継続した。また、石巻地域の子育て支援のコンサルテーションを数回行った。さらに気仙沼地域の小学校でのコンサルテーションを行った。この中で、問題行動を示す子どもや保護者とその直接的支援者である保育士、教師等を、関係性の問題と見立て、その関係性を包含するシステムを調整することの意義が引き続き見出された。 とは言え、この包含するシステムは被災の影響を受けたコミュニティという文脈と地続きであることも強く実感させられた。そして、こうした活動を通して、Anna Freud centerの提案するAMBITモデルを子ども家庭センターに実装していくことの可能性について検討が始まった。特に、保健師による支援や繰り返される震災や津波とその経験によって培われたローカルルールなど、ローカルな支援の在り方を尊重すべきこの地において、その視点を大事にしているAMBITは有効であるとの手ごたえを得た。 そこで、ここまでのアウトリーチの結果を共有し、また、孤独感を抱える養育者や子どもを支援するシステムを、子ども家庭センター中心に構築していくことを目指したシンポジウムの実施を2024年度に計画し、その実施に向けて準備を進めた。 また、AMBITについて一般に理解を拡げるために、Anna Freudセンターが提供するAMBITの説明Youtubeに字幕をつけ、日本メンタライゼーション研究会の協力のもと、HPで自由閲覧可能になるよう準備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プログラムの概案は出来上がっており、もともとの計画とは異なるが、プログラムの原案を提案した開発者を招いての公開シンポジウム・フォーラムを実施できることになったのは非常に意義のあることと考える。
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今後の研究の推進方策 |
・2年間の活動を取りまとめる。また、2年間の継続的コンサルテーション体験の振り返りのインタビューを実施し、効果を質的に検討する。 ・仙台を中心とした宮城の地に残る、子育てにおけるメンタルヘルス上の課題を支援者や市民、行政と明瞭に共有し、ローカルな伝統を大事にした新たな支援システムの構築を目指した公開プログラムを実施する。その際、Anna Freudセンターより、Peter Fuggle氏を招聘し、プログラム構築に向けた提案を受ける。 ・本結果は、被災等によって外傷化したコミュニティにおける隠れた孤立の問題に目を向けるものであり、今後様々な被災地支援に援用可能なものとなると思われる。よって、結果を書籍化し、広く役立てられるよう準備する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度、海外研究者を招聘してのシンポジウムを開催することになったため、プログラム構築のための費用を残し、充填を計ったため。 次年度使用額は、英国Anna Freudの実践家・研究者であるPeter Fuggle博士の渡航費滞在費謝金に充てられる予定である。
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