研究課題/領域番号 |
22K02400
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研究機関 | 華頂短期大学 |
研究代表者 |
眞崎 雅子 華頂短期大学, 幼児教育学科, 教授 (10714925)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 身体性 / 場面理解 / 成り込み / 観察視点 / 身体的行為 / 接面 |
研究実績の概要 |
本研究は、「子ども理解」を核とする保育実践に不可欠な身体性の育成に向けて、保育学生における、子どもと繋がる保育者の身体性に対する理解の深化を目指すものである。そのために、2022年度は保育場面の理解を支援するためのビデオ映像と質問紙調査の作成を行い、保育者養成の身体表現に関する受講生を対象に予備的調査を行った。2023年には、前年度の調査結果を基に、調査方法や質問紙項目の変更・修正を行い、引き続き撮影したビデオ映像を学生に視聴させ観察記録を分析する調査を行った。これらの研究は、3大学の教員で調査を実施する共同研究として行った。 具体的には、リズム表現遊びの保育場面を手始めに、受講生の視点の傾向を確認した。リズム表現遊びの場面では、教示無しの場合、受講生の視点は子どもの「外面的な理解」に関するものが多く、受講生が場面を表面的に捉えている傾向が明らかになった。2回目の動画視聴では、「保育者と子どもの繋がり」に着目する教示を行った結果、受講生の視点は、「共振(共鳴)」「発信(共振)」「応答(誘導)」などの「接面に向かう身体的行為」に集中した。このことから両者の繋がりに着目させる教示によって保育者の身体的行為に視点が絞られ、受講生自らも両者との繋がりを志向する中で、場面理解が広がり深化する可能性が示唆された。 次の調査では、運動あそび支援場面の観察記録を、保育者の援助とその理解に着目して分析した結果、保育者の「言葉かけ」や「身体かけ」等の援助への視点、また、それらの質や状態に言及することで場面を理解していると捉えられた。さらに、無音で保育場面映像を見た際の視点の調査や、4つの保育場面を取り上げ、それぞれに教示の有無による視点の違いなどに着目し、質的分析に客観的な視点を加えたKHコーダーを用いた分析を行った。その結果、いずれも身体性に着目することによる場面理解の深化が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
観察記録の分析方法を変更・改善することに時間を費やすことが多くなっており、研究の進捗状況を遅らせている状況である。次の段階へと進めていくために、これまでの調査結果を精査し、今後の研究計画・実行へ繋げることに注力する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査結果・論文などを精査する。保育場面から捉えられた保育者の身体性、子どもと繋がるための身体の重要な役割について挙げ、それらを実技の授業に反映させるための授業計画を立てる。授業計画を実践する際、受講生を対象としたアンケート項目を作成し、事前事後に調査する。授業の前後で比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
撮影した動画を活用した調査を継続的に実施したため、新たに購入する器材などが発生せず、出費を抑えることとなった。学会や研究打ち合わせ、ソフトの機器購入や論文作成にかかる経費(翻訳業者)なども発生しなかった。今後は、学会発表や論文執筆に力をいれる他、著名な研究者を招聘して実施する講演会なども開催し、有意義な研究交流を深める場を設定したいと考えている。
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