研究課題/領域番号 |
22K02402
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研究機関 | 武庫川女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
久米 裕紀子 武庫川女子大学短期大学部, 幼児教育学科, 准教授 (60779205)
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研究分担者 |
遠藤 晶 武庫川女子大学, 教育学部, 教授 (30353006)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 保育研究の在り方 / 保育の質 / 遊びこむ |
研究実績の概要 |
本研究は、文部科学省は、小学校入学時の学習態度や学力の差をなくす為、5歳児向けの共通教育プログラムを作る方針を決め2022年にモデル事業をスタートするということに着目したものであった。激動する社会情勢の変化の中、「子育て支援」の役割が強くなってきている。一人一人の育ちを保証していくために、保育現場で「保育力の向上」をどのように行うかが重要であるということで、研究を進めていく予定であったが、文部科学省が当初計画していた「教育プログラム」から「幼保小の架け橋プログラム」に変更した。そのことを受けて、研究の方向性を再度検討した。保育現場への取り組みにアプローチすることを目指すということに関しては、幼保小の連携していくことにつながっていくと考える。保育の質の向上という点でも幼保小の連携にもつながっていくと捉えている。幼児教育の変遷を辿りながら保育研究の在り方を探っていくことは、歴史から学ぶ、先人の教えから導き出すことは必要であると考える。しかし、社会情勢の変動として少子化が進み、幼稚園が激減している。保育園・こども園が激増し、保育士不足が深刻である。保育の質を考えるとき、この2つの大きな問題に対して、保育を観るという経験が無い、少なくなっているという現況を鑑み、保育の質の向上=保育研究の在り方=保育を観て考える(学ぶ)ことが重要であると考えている。園の保育研究会へ参加、園の保育に対する悩みや思いを知ることを通して、保育を観る=保育実践をして観てもらうことが、保育現場経験者の私らしい研究ではないかと考えた。現場の保育者の方は、保育を観たいという希望があることが分かり、観て考える=保育を考える=学びを共有していくという取り組みを始め、研究している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「教育プログラム」から「幼保小の架け橋プログラム」に変更になり、連携が主軸になったことから、研究の方向性を改めて考え直した。「保育の質」や「保育研究の在り方」という視点は変わらない。保育現場にアプローチしていくことが本研究の成果につながるということも研究の目的である。そこで、保育者が「一人一人を育むために遊びこむ姿」をどう捉え、援助していくか、保育研究の在り方を検討していく取り組みとして、保育は観て学ぶということをテーマに、幼稚園の研究会に参加し、私自身が保育を実践して観てもらう活動を始めた。保育現場では、コロナ禍の影響もあり、保育研究の持ち方について苦慮していた。自分たちの保育を見直したいと思いつつも、どのように研究していくかと悩んでいた。保育の質を上げるという研究には、幼稚園の変遷を辿ってその時代ごとに取り組みを知ることから探っていくことも重要である。しかしながら、現実として少子化による園の減少の影響は大きい。そのことを踏まえ、2022年度は園の研究会に参加(高槻市立北幼稚園)に参加し、表現遊びについて学び合う機会をもった。その際に保育を観るという経験を増やすことが必要だという思いから、私自身が保育を実践してその保育から自分のクラスの子どもを客観的に捉える、自分ならどうするかということを考えてもらうことで保育の質に迫っていく取り組みをし始めた。芦屋市立幼稚園3園・茨木市立幼稚園1園・明石市私立保育園・姫路市私立子ども園で保育の実践を行った。動画撮影を行い、その記録の分析を行っていく。また、保育者の方に保育についての意アンケートを行っている。 自身の保育実践や学生の保育実践からの成果と課題を日本乳幼児教育学会(2022年12月)日本保育学会(2022年5月・2023年5月)に発表した。大学の紀要(武庫川女子大学学校教育センター紀要)にも成果と課題を投稿(査読有)した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年は、私自身が保育実践をして、保育を観せていく。その実践を記録し、記録を文字化していく。保育者からのアンケートを取り、保育者の思いや気付きを録画データと照らし合わせ、保育研究の進め方を探っていく。その分析から「保育の質の向上に向けて」「保育研究の在り方」を検討し研究を進めていく。今年度は保育実践をしていくことに重点を置いていく。学期に1回、1学期に4園、年間12回の保育実践を行う。各園には依頼済みである。大学での倫理審査を受けている。その他にも依頼があれば保育実践に出向いていく。公立幼稚園の園児減少の現実を捉え、保育の質向上をめざす取り組みにアプローチしていく。 保育学生を保育場で保育実践をする試みを6年前から実施している。保育学生の学びだけでなく、現場の保育者の方々にとっても大きな学びとなっていることが先生方お話から分かったので、現場の先生の学びになるという視点でも研究を進めていくことにした。保育実践がその後の保育の広がりになったり、先生方にも子どもの見方という点では自分の保育の振り返りにもなっていると考える。その辺りを探り、実践を観て学ぶという視点では共通するので研究対象としていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、計画の見直しを行った。文部科学省の「教育プログラム」が「幼保小架け橋プログラム」に変更になり、研究の進め方を見直す必要があった。その中で、実践保育をすることから、保育の質の向上に向けて、保育現場にアプローチしていくことにした。倫理審査を受け、研究の活動(実践保育)を記録し、分析を行う準備が整ったので、必要な物品を揃えて研究に役立てたい。
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