研究課題/領域番号 |
22K02419
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
和久田 佳代 聖隷クリストファー大学, 国際教育学部, 教授 (20320989)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 運動遊び / 観察的な評価指標 / ハシゴ渡り / 身体図式 / 感覚プロファイル / 片足立ち / 背臥位屈曲 / 線上歩行 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、保育・教育現場で活用できる運動遊びを質的に評価する指標を開発することである。発育発達過程に沿った動きと環境に合わせる動きを含む「ハシゴ渡り」に着目し、その評価指標を開発する。同時に、感覚・運動面のアセスメントとの関係を明らかにし、幼児期において、身体図式、協調運動はどのように発達していくのか、身体図式、協調運動の未発達はどのような影響があるかについて知見を得る。 2022年度には、1)ハシゴ渡りの評価指標の明確化と2)協力園におけるデータ収集を行った。 2年目である2023年度は、2022年度に協力園において収集したデータを分析し、1)ハシゴ渡りの評価指標の明確化と2)感覚・運動面のアセスメントとの関係の分析を進めた。 1)ハシゴ渡りの評価指標の明確化では、評価指標(案)を使って、2022年度に協力園で得られた3-5歳児のハシゴ渡り動画(297例)を分析し、観察的評価指標の妥当性、信頼性を確認した。ハシゴ渡り動作は評価指標の動作パターンのように、[1]膝をついて四つばいで渡る、[2]しゃがんで渡る、[3]高ばいで一つ一つ進む、[4]高ばいで同側で進む、[5]高ばいで交差で進むと発達していくと考えられた。ハシゴ渡り動作の評価指標の動作パターンについては妥当性、信頼性があり、発達評価につながると考えられた。 2)感覚・運動面のアセスメントとの関係の分析では、ハシゴ渡りの動作発達やタイムには、感覚の過敏性や低反応が関係していた。特に、前庭覚、固有受容覚の過敏性や低反応が身体図式の機能的要素の発達に関与し、それが運動企画、協調性に影響し、ハシゴ渡り動作やハシゴ渡りの際に「足をみる」ことや、タイムに表れていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハシゴ渡り動作の評価指標を作成することができ、この指標は妥当性、信頼性があり、発達評価につながると考えられた。2020-2022年度のA園における縦断的なデータの分析から、学会発表を行うとともに、学会誌に原著論文として投稿し、掲載された。2022年度のB-E園における横断的なデータの分析を行い、感覚・運動面のアセスメントとの関係について博士論文としてまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の計画は、これまでH市内の認定こども園の3~5歳児を対象としてきたことから、対象を拡大させて調査を実施し、ハシゴ渡り評価の信頼性を検証する。予定では、都内の協力園における調査、小学校1年生の調査、児童発達支援事業所での調査を計画している。 また、感覚・運動面のアセスメントとの関係の分析については、ハシゴ渡りと人物画との関係を再分析し、身体図式の発達について知見を考察し、発達支援系の学会誌への投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
動作分析ソフト(myDartfish Pro)を使用した詳細な分析を、2022年9月から2023年9月の1年間の契約内で済ませ、2023年9月から2024年9月は、myDartfish Mobileの範囲で、データの維持と確認を行ったため、残額が生じた。2024年度はマーカーレス動作分析アプリSPLYZA Motionの利用を検討している。
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