研究課題/領域番号 |
22K02461
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
角南 直美 鳥取大学, 医学部, 助教 (70715359)
|
研究分担者 |
前垣 義弘 鳥取大学, 医学部, 教授 (80252849)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 発達障害児 / 社会情動的スキル / 早期集団場面 / 効果的介入 / 教師のかかわり / 自然な環境 / 認知-解釈モデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,発達障害児の行動を規定する「認知-解釈モデル」を開発し,効果的な教師介入プログラムを作成・実施することである。OECDは幼児・児童期に必要な資質・能力として「社会情動的スキル」を挙げており,これまでその向上を目指したプログラムが開発されている。一方,認知の偏りがあり,集団活動や仲間との相互作用が難しいため,社会性の向上が必要とされる発達障害児の多くはその習得が困難な状況にある。発達障害が遺伝と環境の相互作用により発現する多因子疾患(Neuman et al.,2007)であることを考慮すると,より早期からの支援が必要となる。これまで発達障害児の問題行動の低減に関する研究が多くなされてきたが,自然な環境としての集団場面での介入がより有効との指摘もある(Bauminger,2007)。 そこで,本研究では早期集団活動の場である保育園における子ども同士のトラブル場面での担任のかかわりに着目して,発達障害傾向のある子どもの認知-解釈を探求する。初年は,「子どもの解釈を問うシート」を作成するために先行研究の課題を踏まえた検討・分析を行った。これらの知見を参考に,ある程度の言語化が可能な保育所5歳児を対象としたトラブル場面での「子どもの解釈を問うシート」の試作版を開発した。その後,シート試用を数事例実施した。研究分担者との協議により,担任に加え副担任の意見も取り入れながらより多角的にシート開発の検討を行った。また,参与観察時に,担任・副担任から最近の子どもの様子やトラブル場面での応答等を聞き取った。加えて,年度末に担任・副担任に別途面接調査を実施し,1年を通した子どもの様子,シートを使用した感想およびその後のかかわりへの影響等についても尋ねた。これらの内容を踏まえ,次年度に「認知-解釈モデル」の検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「子どもの認知-解釈を問うシート」の試作版を作成するにあたり,先行研究を検討・分析し,数事例試用することができた。保育所の協力を得て,日常場面で自然に生起する発達障害傾向のある子どものトラブル場面に介入した担任・副担任から子どもの様子を参与観察時に経時的に聞くことができた。年度末の担任・副担任からの語りにより,現場の声を取り入れた実用的で効果のある「子どもの認知-解釈を問うシート」開発を検討する材料を得ることができた。以上から,次年度に向けての基盤が概ね整ったと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は,「子どもの認知-解釈を問うシート」を担任/副担任の意見を取り入れながら修正し,実際に使用した効果を検討していく。担任および副担任に,子どもの行動評価尺度等の記入を依頼し,1年間の変化を検証する。加えて縦断的に次年度の子どもの様子についても行動評価および面接調査を通して検討を行う。これらと平行し,3年目に向けて発達障害児の行動を規定する「認知-解釈モデル」開発の準備を進めていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
差額は1万円以下であったため,ほぼ予定通りと考えている。次年度の研究使用の用途も決まっている。
|