研究課題/領域番号 |
22K02472
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研究機関 | 愛知学泉大学 |
研究代表者 |
田村 佳世 愛知学泉大学, 家政学部, 准教授 (50783099)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 食物アレルギー対応 / 保育者の専門性 / 安全管理 / 危機管理 / 職種間連携 / リスクマネジメント / 保育士等キャリアアップ研修 / 保育事故 |
研究実績の概要 |
本研究では、近年保育現場で対応が求められている食物アレルギーに関する安全管理・危機管理に着目して、保育士の安全管理・危機管理に関する意思決定プロセスの実相を解明することを目的にしている。 1年目の研究では、保育士の安全管理・危機管理に関する意思決定の要素を明らかにするため、保育士の食物アレルギー対応に関する「思い」に着目してこれまでの研究から意思決定に結び付く要素間の関連性について検討をした。その結果、「保育士等キャリアアップ研修」による知識や実践力の習得に「満足」「自信」を得る一方で、医学的な知識、対応については「不安」「難しい」という「思い」があることが分かった。また、保育士自身が実際に行っている園での食物アレルギー対応の経験からは「知識を得ることができた」「子ども理解にもなった」という肯定的な「思い」と、子どもの特性上で保育士自身が管理できないことに対して「不安」「難しい」といった「思い」もあることが分かった。研修を通した保育の安全管理・危機管理に関する保育士の意思決定の要素となる「情報」は多く得ることができる。一方で実際の保育では、一人ひとり違う子どもの発達や除去内容、そして日々違う子どもの体調、メニュー、保育士の勤務体制など、手順のルール、規則だけでは対応できない実情に対して、「不安」「難しい」「困る」という「思い」があるという、保育士の食物アレルギー対応に関する意思決定の要素ついて、多面的に比較することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目の研究では、保育士に食物アレルギー対応に関するヒヤリハット事例について質問紙調査を行い、事例をテキストマイニングによって分析し、保育士の意思決定の要素を可視化し、要素間の関連性について検討するすることを目的としていた。しかし、保育現場ではここ数年、感染症対策が最優先に行われており、食物アレルギー対応に関しても、コロナ以前に課題とされていた「子どもの座る場所」や「園外保育での食事場面」といった事例が少なくなっていた。また、2023年5月8日より新型コロナ感染症が5種に引き下げられることが決まり、それ以前とそれ以後の園の対応が大きく異なってくることが予想された。そのため、1年目に予定した事例の調査は延期とした。代わりに、コロナ以前の先行研究から今回目的としていた知見を得ることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の研究では、1年目の研究で明らかにした意思決定の要素を基に、尺度開発の手法を用いて、意思決定プロセスの因子構造を明らかにする。尺度項目については、質問紙調査(保育士約200名)を行い、因子分析をする。質問紙調査が遅れているが、今年度中に調査を行い、分析まで実施する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会がオンライン開催であったため、旅費の支出がなく差額が生じた。次年度は対面での学会やフィールドワークを計画のため旅費・人件費の支出が生じる見込みである。
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