研究課題/領域番号 |
22K02475
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
村上 伸治 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (70304350)
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研究分担者 |
高橋 優 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40551049)
石原 武士 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60335594)
上野 浩司 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (60725068)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | マウス / 発達 / 社会性 / ストレス / 隔離 |
研究実績の概要 |
自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害の症状の一つに、社会性の障害がある。この社会性を健全に育むには、成長過程(乳児期から青年期)の全期間で他者と触れ合うことが必要と考えられている。しかしながら、成長過程における社会性の発達時期は不明瞭なままである。そこで、本研究ではこれまでの研究成果を応用し、成長過程における社会性の発達時期を明確にすることを目的とした。さらには、幼少期の社会性が障害された後、健全な環境飼育によって社会性が回復するのかを調べ、社会性の臨界期を明らかにしようと試みた。その成果により、広汎性発達障害の理解を深めると共に、新たな予防方法・治療方法の開発への臨床的応用を目指すことができる。本研究では、マウスの生後の発達期(生後21~49日目)の間の一定期間(1週間)だけ隔離ストレス(1匹/ケージ)を負荷し、生後10週目に社会性試験等を実施して、隔離飼育期間とマウスの社会性の関連性を調べる。社会性試験には3チャンバー社会性試験装置を使用し、知らないマウスへの接近回数や周囲の滞在時間を社会性の指標として用いる予定である。マウスの成熟まで2ヶ月程度要するため、現在はマウスの体重の変化のみの結果を得ている。生後3週目、4週目、5週目の1週間だけ隔離ストレスを付加されたマウスは、隔離ストレスを付加されていないマウスと比べて、マウスの体重に明確な変化は見られなかった。この結果は、発達期の隔離飼育ストレスがマウスの食餌量やケージ内での運動量などに影響を与えていないことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究ではマウスに隔離ストレスを負荷させる必要がありました。隔離ストレスを負荷させるためには、飼育ケージ内に1匹で飼育する必要があるため、隔離ストレスを負荷させるマウスのグループを作成するためには、広い飼育スペースの確保が必要でした。飼育スペースを確保するためには、様々な実験の都合などを調整しなければならず、そのため本実験の開始がやや遅れてしまいました。現在は令和4年度の後半から実験を開始でき、令和5年度には目的とする実験結果が得られそうな状況にあります。
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今後の研究の推進方策 |
①生後10週目に社会性試験を実施し、隔離飼育期間とマウスの社会性の関連性を調べます。社会性試験は3チャンバー社会性試験装置を使用し、知らないマウスへの接近回数や周囲にいる時間を社会性の指標として用います。また、各種行動実験(オープンフィールド試験や高架式十字迷路試験、テールサスペンション試験など)を実施し、マウスの社会性以外にも活動量や不安行動にも影響を確認します。 ②上記の行動実験終了後、マウスから採血を行います。血清中の炎症マーカーの検討を行い、採血したマウス血液より血清を採取し、炎症マーカー(CRP、IL-6等)をELISA法により測定します。 ③得られたデータを研究者間でまとめ、学会発表を行います。また、追加実験等を行い必要なデータを揃えます。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物であるマウスを使用した実験の開始が遅れており、初年度で使用する費用が少なくなった。さらには、使用期限の短い試薬キットや免疫染色の試薬などの購入を次年度にすることにしたために次年度使用額が大きくなっている。次年度使用額は情報収集を行うための学会旅費や成果発表を行うための学会旅費、特注の行動実験機器の購入,試薬キットの購入に充てる計画である。
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