研究課題/領域番号 |
22K02497
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
野村 幸代 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (90635195)
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研究分担者 |
岡田 倫代 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (50587433)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 教師の見取り / 低学年児童 / 授業分析 / 教師の意思決定 |
研究実績の概要 |
国内外の「見取り」とobservationに関する先行研究の分析を行った。その結果、見取りは「教師の信念に基づく見取り」と「教育技術としての見取り」の2種類に分類できた。また、国外の「見取り」(observation)は「教育技術としての見取り」であることが明らかになった。「教育技術としての見取り」は新任者にとって取り入れやすい指標となる。これまでの国内の「教師の見取り指標」も「教育技術としての見取り」に限られていることを検証した。 一方、本研究で扱っている「教師の信念に基づく見取り」は、教室の文脈に対応しうる柔軟なものである。「教師の信念に基づく見取り」と「教育技術としての見取り」とを明確に区分して提示することにより、これまでの「見取り」研究とは異なる観点で、初任者が授業を行う際に活用できる見取り指標の一部を提供できた。 令和4年度は、映像、逐語記録等のデータをDiaCoM (diagnostic judgements by cognitive modeling,Loibl, Leuders & Dorfler,2020) の枠組みによって、「教師の信念に基づく見取り」のプロセスを可視化し、学会発表を行い、論文として発表した。令和5年度は、これらのデータをKHコーダにより分析した。それにより、教師の見取りが教師の指導観や児童観に基づいていることを裏付ける結果を得られた。さらに、教師が児童の理解に合わせて授業を展開するプロセスをより客観的に示すことができた。加えて、被験者への追跡調査を行い、データの信頼性を確認した。 現在、DiaCOMによる分析結果とKHコーダによる分析結果の検討を研究分担者と行っている。発達心理学に基づいた児童の特徴を考慮して考察することにより、分析結果の妥当性を高めることができることが明らかになった。これまでの結果と先行研究の知見とを照会し、学会発表の準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DiacoMによるデータ分析に加え、KHコーダによる分析を行うことにより、複数の角度から教師の見取りの特徴を示した。その結果、見取りの特徴をより客観的に示すことができた。今後、これらを低学年児童の特性を考慮して考察することにより、本研究の目的である、初任者が授業を行う際の指標となる特徴を示すことができると考える。
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今後の研究の推進方策 |
①発達心理学の知見から低学年児童の特性を抽出し、それを踏まえてこれまでの分析結果を精査する。②DiaCoMとKHコーダの分析結果から教師の見取りのポイントをクリアに提示する。③8月末の全国教育学関連学会で発表する。④令和6年度中にここまでの研究成果を論文として発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表のための旅費が必要である。論文作成のため更なる資料収集を行う。コピー代、コピー用紙代、プリンタートナーなどの消耗品の購入を予定している。
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