研究課題/領域番号 |
22K02524
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
竹下 浩子 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (00412221)
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研究分担者 |
井上 昌善 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (10824104)
藤田 昌子 愛媛大学, 教育学部, 教授 (40413611)
藤原 一弘 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (40824082)
富田 英司 愛媛大学, 教育学部, 准教授 (90404011)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 家庭科教育 / 概念型カリキュラム / 持続可能な社会 / ESD / SDGs / 消費者教育 |
研究実績の概要 |
研究の初年度となる2022年度は、日本の一般的な公立の小学校・中学校・高等学校で実施可能な概念型カリキュラムの教師教育プログラムを開発するため、国際バカロレアの認定校やインターナショナルスクールの教師やコーディネーターが主に参加する海外のConcept-Based Curriculum and Instruction Trainersのオンラインセミナーに研究代表者と研究分担者の計3名が受講し、概念型カリキュラムについて理解を深めた。さらに、その理解を共同研究者で毎週1回勉強会を開催し、公立学校での展開の可能性と課題を検討した また、家庭科と他の教科独自の観点を学際的な視点からのアプローチに広げ,複雑な社会を理解し問題解決を図る概念的思考を組み合わせた概念型カリキュラムを開発するため、持続可能な社会の構築を基盤とした概念型カリキュラムに取り組むことにした。そこで、中学校家庭科の学習指導要領に基づいた学習内容と概念型学習でのキーワードを照らし合わせ、家庭科における概念型カリキュラムの授業デザインを作成した。さらに、それをもとにして、中等バカロレア認定校の中学校の家庭科教師の授業実践を参考に、概念型カリキュラムに基づく衣生活授業の開発をおこなった。概念型カリキュラムは、現行の学習指導要領の見方考え方に通じるものがあり、公立学校においての推進は可能であることが分かった。しかし、概念型カリキュラムの作成にあたっては、教員自身に概念に関する深い理解が必要であるため、教員および研究者との交流を通しての授業づくりが必要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
海外のConcept-Based Curriculum and Instruction Trainersのオンラインセミナーに研究代表者と研究分担者の計3名が受講し、教科ごとのユニットプランを作成する最終課題に合格し修了した。研究代表者は中学校家庭科の衣生活の内容に関する概念型探究学習のユニットプランを作成し、概念型カリキュラムに対する理解を深めることができた。これらの知見をもとに、共同研究者、その他の研究者と週1回の割合で頻繁に概念型カリキュラムの勉強会を開催した。共同研究者は、他教科の教科領域の専門を備えているため、家庭科以外の教科との広い視野での概念型カリキュラムの展開が期待できる。 家庭科教育の基礎学問となる家政学から持続可能な社会の概念の体系化を行い、家庭科教育における概念型理解の期待と課題を明らかにした。その成果について大学紀要論文にまとめて発表した。 また、家庭科教育における概念型カリキュラムの実践につなげるため、学習指導要領と持続可能な社会の概念との関係性を整理し、中学校家庭科の概念型カリキュラムの授業デザインを作成した。この内容については、消費者教育学会に査読付き論文を2本投稿し、掲載された。 また、共同研究者が概念型カリキュラムに関する論文を1本執筆した。 教育現場での汎用の可能性を探るため、概念型カリキュラムに興味のある教員を対象に、意見交換会と勉強会を設けた。17名の参加あり、概念型カリキュラムに関する教育現場の率直な意見を伺うことができた。 以上、①共同研究者との頻繁な共同研究が継続的に行われていること、②研究成果を論文として4本の論文を投稿し採択されたこと、③教育現場との連携につながったことは、本研究が活発に行われていることを裏付けるものである。
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今後の研究の推進方策 |
概念型カリキュラムについては、海外に多くの学習プログラムが存在するため、引き続き海外のオンラインセミナーに参加し、授業実践を視野に入れた概念型カリキュラムの作成に臨み、共同研究者と引き続き定期的に議論を継続していく。 現場での教育実践につていは、概念型カリキュラムに基づく実践事例が少ないため、興味のある教員を引き続きあつめていくことと、興味のある教員への支援を行っていく。また、実践事例を増やす対策として、放課後学習プログラムを活用し、放課後学習でのパイロットプログラムを研究者と学校教員が共有できる方法について模索する。 さらに、成果発表について、引き続き学会や大学紀要で論文を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者が、概念型学習を取り入れている学校への視察を行う予定だったが、学校との予定が合わずに今年度は実施できなかった。学校訪問は次年度以降に計画している。
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