研究課題/領域番号 |
22K02546
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
森脇 健夫 武庫川女子大学, 教育研究所, 教授 (20174469)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ふりかえり / リフレクション / AARサイクル / ふりかえりの理論的系譜 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、① 授業におけるふりかえりの質を高めることを通して省察の本来の機能、意義を顕現すること ② ①によってAARのレベルを上げ、主体的・対話的で深い学びが実現するように授業実践を構築することである。 2022年度の研究成果として以下の3つを挙げることができる。 一つ目はリフレクション(ふりかえり)の理論的系譜の調査とその調査結果の整理である。AARサイクルにおいてはR(リフレクション)の機能がきわめて重要であることは論を待たないが、そのリフレクションの機能自体についての歴史的な系譜についての整理は十分ではなかった。J.Deweyから連なるリフレクションの機能の整理を行い、「ふりかえりの理論的系譜研究ノート」として公にした。二つ目は、実践者(大学における中国語入門教育)との協同研究として、ふりかえりに焦点をあて、その改善とその成果の検証を行ったことである。その成果は中国語教育研究会、共同論文として公にされている。三つ目は、三重県内教育委員会(県教委、地教委)また、各地の小学校、中学校において、研修を担当し、めあて・ふりかえりについて、ワークショップを用い、教職員の授業改善に資するよう問題提起を行ったことである。その成果は、例えば四日市市教育委員会が市内教員のために作成した『四日市モデルを活用した授業づくりのために』(令和5年4月)に「ふりかえり」の観点として引用され、位置付けられている。 以上が本年度の実績として挙げることができるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要の箇所でも述べたが、本研究の目的に沿って、必要な研究を順調におおむね順調に研究を行うことができた、ということで上のような評価をした。 上の概要の繰り返しになるが、3つの実績(一つは、ふりかえりの理論的系譜の整理、二つ目は、大学の教育実践におけるふりかえりの改善の共同研究、三つ目は三重県各機関におけるめあて・ふりかえりの啓発を行えたこと)により、基礎的な研究および実践的な研究を同時に行えたことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(2023年度)については次のような計画をたてている。 一つはふりかえりの理論的系譜研究をふまえて、あらためて「めあて・ふりかえり」の理論的探究を行う。ふりかえりの質の向上にとってもっとも重要なポイントが、めあての質の向上である。めあてとふりかえりはその意味でセットとして考えるべきである。めあての機能、質の向上に焦点をあて、探究を重ねたい。 二つ目は、小中学校における「ふりかえり実践」の共同探究である。コロナ禍の中で、共同研究が難しい状況があったが、次年度は学校訪問および共同研究が可能な条件が整いつつある。状況に応じてということになるが、ふりかえりについて、アクションリサーチ的な研究を行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度の予算はほぼ使用できたが、予定していた機器の購入を次年度に廻すことになり、残額が発生した。次年度(2023年度)については、残額をできるだけ生じないように計画的に予算執行を行いたい。
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