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2023 年度 実施状況報告書

西洋修辞学を応用した小説教材分析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K02573
研究機関広島大学

研究代表者

柳澤 浩哉  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (40230263)

研究分担者 山元 隆春  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (90210533)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード小説教材 / 西洋修辞学 / 教材分析 / 修辞学的分析
研究実績の概要

小説教材は生徒にも容易に理解できるため、教室では生徒には到達できない読みの提示が求められるが、これは非常に難しい。本研究は、西洋修辞学の蓄積を使って次を提供することを課題とする。
(1)教科書に掲載されている小説教材に対して、生徒には到達できない深い分析を提供する。分析は客観的で納得できるものである。
(2)国語教師が独力で上記の分析を行えるように、必要な知見と方法を提示する。この二つの成果は、国語教師が広く利用できるように、インターネット上に公開する。
西洋修辞学には、表現とそれが生み出す効果の関係についての蓄積がある。表現効果を考えるのは、比喩・誇張法のような狭義の修辞技法だけでなく、文構造・品詞・言葉の量など多岐にわたるため、狭義の修辞技法の出現しない作品に対しても有効である。例えば、小説の語りの表現に注目することで、作者・語り手の「見方の偏り」、あるいは「語りにおける計算」を抽出できる。さらに、発話に注目することで登場人物の「見方の偏り」をあぶり出せる場合もある。西洋修辞学では、表現とその効果の関係を誰もが納得できる、直観的かつ素朴なレベルで解明しているため、それらの蓄積は普遍性が高いとともに生徒でも納得することができる。これらの蓄積は、小説に限らず、他のジャンルのテキストに対しても有効である。
表現効果は、このように国語教育に多くの可能性をもたらすが、表現と表現効果の関係を一つに整理した便利な文献は存在せず、いろいろな文献に断片的に残されているだけである。西洋修辞学で表現効果に対する研究が盛んだったのが19世紀であり、20世紀に入ると表現効果への興味が薄らいでしまったことがその背景にある。この2年間は主に西洋修辞学の文献を調べることに注力していたために、教科書教材の分析はあまり進んでいないが、最終年度のなるべく早い時期に研究成果を公開していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

残念ながら、研究の進展は計画よりも遅れている。本研究の採択とほぼ同時に、附属学校の校長(兼任)が決まり、そちらに時間とエネルギーを取られてしまうことが第一の理由である(週に二日附属に勤務して附属の業務をすることが義務付けられている)。第二の理由は、研究代表者のもう一つの研究テーマである映画分析(アダプテーション研究)に時間を取られることである。ただし、映画のセリフの分析では修辞学の蓄積の応用が必要であり、映画分析は本研究と重なる部分が少なくない。

今後の研究の推進方策

この二年の間に西洋修辞学の文献調査はある程度行ったので、第一の課題である教材分析をまず進めていきたい。中学校と高校の教科書に掲載されている小説教材は、それぞれ50本以上あるので簡単なことではないが、半分以上の教材の分析を終えて、なるべく早い時期にオンライン上に公開したい。

次年度使用額が生じた理由

研究成果を発表するHPをまだ構築していないことが大きな理由です。これは本年度(令和5年度)に構築する予定でしたが、研究の遅れから構築が間に合いませんでした。令和6年度が最終年度になりますので、早めにHPを構築して公開いたします。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 『少年の日の思い出』の謎を解くー矛盾する言葉を手掛かりに―2023

    • 著者名/発表者名
      柳澤浩哉
    • 雑誌名

      広島大学大学院人間社会科学研究科紀要「教育学研究」

      巻: 4 ページ: 228,236

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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