研究課題/領域番号 |
22K02580
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
坪田 益美 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (20616495)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 社会的結束 / シティズンシップ / 多様性との共生 / 地域参加学習 |
研究実績の概要 |
初年度は、これまでの研究を踏まえて、社会的結束(social cohesion)を生み出すための教育的活動として、コミュニティ・サービスを学習方法とした取り組みに焦点を当て、日本と、アジアの中でも極めて複雑な多文化状況にある香港との事例を比較し、その取り組みの背景、内容、方法等の相違と共通点について検討した。具体的には、学習活動の一環としての地域参加を通じて、社会的結束を促進するための学習と行動を生徒に促すために、日本と香港の小学校が開発した 2 つの学習単元を比較した。比較のために 2 つの類似した学習単元を選択し、どちらも地域社会の高齢者に関連する問題に焦点を当てて、検討した。両小学校のカリキュラムと実践の分析に基づいて、香港と日本の社会的結束のためのコミュニティ参加の促進に関心のある教育実践者向けの 5 つの方向性を概説した。それは、サービス学習の実践、社会的結束の促進、本物のスキルの学習、地域参加のカリキュラムへの挿入についてである。どちらの実践においても、学習として組織された地域参加を通して社会参加の意義やそこにおける有用感を実感させるカリキュラムを充実させることで、地域を活性化し、社会的な結束を生み出す社会人として活躍できるよう支援する一つのストラテジーを提示することに成功している。本研究ではさらに、脱工業化・高齢化社会における若者の地域社会への貢献を促進するために、そのような学習単元を開発することの重要性を指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は基本的にこれまでの研究の成果をふまえて、新たな課題を研究するための基盤を固めることを目標としているため、その点においても順調に進展させることができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究課題の主な目的である多様性との共生と社会的結束を目指すシティズンシップ教育について検討するための資料を、韓国およびカナダを中心に収集する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ対策により、容易に海外出張ができない状況であったため、当初計画していた海外調査を次年度以降に実施することとした。そのための予算を、次年度へ繰り越すこととした。
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