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本研究は、学びの個別化に焦点を当て、1年目は広く授業実践事例を収集し、それぞれの特徴を分析した。特徴的なものとして、個別最適化は最適化する主体により次の3つに分類できた。1.AI型教材による個別最適化、2.教師による個別最適化、3.生徒による個別最適化(メタ認知)である。(括弧内はそれぞれの形態で期待される学習成果) ここで、どの学習形態が望ましいというものではなく、生徒の状態に合わせ教師が形態を選択し、最終的に生徒が自らの学びを自由に設計・調整できるメタ認知の育成が目指されることを特定した。同時に、個別最適な学びのみでは、数学教育で求められる数学的活動やその深まりを保障し得ないことを見出し、そのためには協働的な学びとしてのプロジェクト学習を取り入れる必要性を見出した。 2年度、3年度は、初年度の課題を受け、小学校、中学校において教師と協同しながら、1単元分の授業を通して個別最適な学びと協働的な学びをいかに一体化させるかを議論しながら授業開発・実践を行い、最終的にそのための「授業構成原理」を導出した。 具体的には、「自由進度学習」と「プロジェクト学習」を連動させた授業構成となっている。 自由進度学習では、生徒が自身の学びを深めていくことのできる「共同」的環境を構成する。生徒は教材や学びの進め方、そして他者との穏やかな共同体を作りながら、自らに合った学びを模索していく。そのために教師がクラスの状況を見ながら取り入れることのできる手法として、「ルールメーキング」や「教材提示法」「学習状況確認法」を考案した。 プロジェクト学習は、自由進度学習で深めた知識をもとに、「協働」的環境を構成し、生徒同士で模索しながら数学的問題解決を深めたり、教科横断的プロジェクトに挑む。そのために教師に求められるプロジェクト教材の作成法を、本質的学習環境として提示した。
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