研究課題/領域番号 |
22K02595
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
中野 幸夫 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (50364112)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 教材開発 / 環境問題 / 理科 / ESD / SDGs |
研究実績の概要 |
本研究では「①環境問題を実際に観察することで実感できる」,「②環境問題を自然科学的に正確に理解できる内容である」,「③教科(理科)の単元での教育内容と関連の強い内容を取り上げることで教科の単元での実践が可能である」という3つの特徴を持つ環境問題を実際に観察できる実験教材の開発を行い,その教材を用いた授業実践を行うことで教材の教育効果を評価することにより,学校現場で活用できる環境問題への教育効果の高い教材を作成することを目的としている。 研究初年度であった2022年度においては,「化学平衡過程と関係付けた海洋酸性化による貝殻生成の抑制を体感できる実験観察教材の作成」の研究を行い、その成果を「科学教育研究」に「海洋酸性化によって石灰化生物が行う炭酸カルシウムの形成が阻害されることを観察できる実験教材の開発と高等学校での授業実践による教材の評価」というタイトルでの論文として公開まで至った。また,「ヘンリーの法則と関連付けた海洋酸性化の原理を理解できる実験観察教材の作成」についての研究も行った。結果として,中等教育における生徒でも簡便な実験操作によりヘンリー定数を定量的に決定できるような実験手法を開発することができた。 2023年度においては,上記の「ヘンリーの法則と関連付けた海洋酸性化の原理を理解できる実験観察教材の作成」の研究について論文執筆に必要な追加実験などを進めた。また,新たに「特定フロン規制下でも実践できるオゾン層破壊を実感させる実験教材の開発」というテーマの教材開発に関する研究も推進し,結果として,中等教育における生徒でも特定フロンを用いることなく簡便な実験操作によりオゾン層破壊を観測し実感することができるような実験手法を開発することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度であった2022年度においては,「化学平衡過程と関係付けた海洋酸性化による貝殻生成の抑制を体感できる実験観察教材の作成」の論文執筆を行うにあたり不足している実験データなどを取得するための実験を実施し論文を完成させた。完成した論文は教育系の学術雑誌である「科学教育研究」に「海洋酸性化によって石灰化生物が行う炭酸カルシウムの形成が阻害されることを観察できる実験教材の開発と高等学校での授業実践による教材の評価」というタイトルで採択されて,現在は公開されている。また,上記の論文作成と同時並行で「ヘンリーの法則と関連付けた海洋酸性化の原理を理解できる実験観察教材の作成」についての研究も行った。結果として,中等教育における生徒でも簡便な実験操作によりヘンリー定数を定量的に決定できるような実験手法を開発することができた。 2023年度においては,上記の「ヘンリーの法則と関連付けた海洋酸性化の原理を理解できる実験観察教材の作成」の研究について論文執筆を行うにあたり不足している実験データなどを取得するための実験を実施して,論文執筆に必要な準備を進めた。また,それと並行して,新たに「特定フロン規制下でも実践できるオゾン層破壊を実感させる実験教材の開発」というテーマの教材開発に関する研究も推進し,結果として,中等教育における生徒でも特定フロンを用いることなく簡便な実験操作によりオゾン層破壊を観測し実感することができるような実験手法を開発することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度においては,【現在までの進捗状況】において記載したすでに大枠は開発済みとなっている「ヘンリーの法則と関連付けた海洋酸性化の原理を理解できる実験観察教材の作成」と「特定フロン規制下でも実践できるオゾン層破壊を実感させる実験教材の開発」について実験操作の更なる単純化,実験結果の再現性の向上,実験器具などの廉価化などを図るために必要な実験を行って、論文執筆ができる状態までに至れるように研究を進めていく。これらの論文執筆が終了次第,教育系の学術雑誌に論文投稿を行う予定である。 また,上記の論文作成のための実験と同時並行で「化学平衡と関連付けた地球温暖化の原理を理解できる実験観察教材の作成」についても着手していく予定である。 最後に,2025年度においては,前年度までに開発が終了した教材についての論文作成を行うとともに,「合成樹脂の単元と関連付けたマイクロプラスチック生成を理解できる実験観察教材の作成」などの開発予定の教材のうち次に開発する教材として相応しいものを選択し,その教材についての開発と授業実践を行うという形で研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額として1万円強の金額が生じた。これは予定していた実験の進捗の誤差などによって発生しているものである。ただし、次年度使用額の金額としては全体の数パーセント程度とそこまで大きい金額ではないため、令和6年度の実験試薬・器具などに合算して使用する予定である。
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