研究課題/領域番号 |
22K02597
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
時得 紀子 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (30242465)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 音楽科授業 / 教科等横断的 / 創作活動 |
研究実績の概要 |
アジア地域の中でも芸術教育を視点をして、教科横断(STEAM 教育を含む)において、優れた実践に取り組んでいる、シンガポールの小学校、中学校、大学に赴き、授業調査を行った。 また、同国は長年にわたり、教員研修に力を注いでいることから、文部科学省が管轄する、教員研修アカデミーも併せて訪問した。音楽科、および体育科(特に表現活動との教科横断)の指導に携わる教員へのインタビューを行うとともに、音楽科の教員研修では、実際に現地の現職小学校教員、約30名を対象とした研修会に参加した。 (1)ICTを活用したコースにおいては、iPadを使用し、ポピュラー音楽のさまざまなビートに合わせた即興的な創作方法を体験した。(2)さまざまな音楽表現を参加者がグループ単位で自主的に探求するコースでは、コダーイ、オルフの音楽教育メソードを取り入れ、身体表現、楽器を活用した指導法を学んだ。これらの現職教員を対象とした研修の映像記録、インタビュー、教材から、我が国への示唆を得るべく、参加教員が授業づくりを獲得する過程などへの分析に取り組んだ。 STEAM教育の実践については、中国系、マレー系、インド系など各児童のルーツとなる文化について、各々の民族音楽、言語、ダンスなどと横断的な関わりを持たせた学習が展開されていた。 これらの成果を、2023年韓国ソウルにて対面開催された国際学会、APSMER(The 14th Asia-Pacific Symposium for Music Education Research) 並びに鳴門教育大学を主催校としてオンライン開催された、The 11th China-Japan Teacher Education Conference の両国際学会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍を経て、海外における教育実践現場への現地調査に徐々に赴くことができたことは、情報収集において一定の成果をあげることができた。 しかし、調査対象を小、中学校、大学、教員研修と幅広い情報を得たことで、こられの映像資料、インタビュー調査、教材等への分析に多くの時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までは、オンラインを活用した諸外国の授業実践(映像記録を含む)の情報収集、インタビュー調査などに研究方法を切り替えると共に、現地とのオンラインによる連携をはかりながら、海外での実地調査の遂行にも、可能な範囲で取り組んだ。今後も社会情勢を見ながら、極力、海外での実地調査研究を実施していく方策である。 国内においても同様に、社会情勢に配慮しながら、対面による授業実践の調査を速やかに推進していく。 2024年度7~8月は、国際音楽教育学会ヘルシンキ大会(フィンランド)での口頭発表、及び、FullPaper(全文論文)が採択されており、現地での対面開催に出席する。現地では、世界各国が注力する、STEAM教育などの研究発表、ワークショップにも積極的に参加し、今後、本研究に活かす情報収集にも取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は海外フィールド調査について、コロナ禍により、全て実施ができずに残額が生じた。その一方で、社会情勢を見ながら、アジアの一部地域を対象に含め、調査研究に取り組むことができた。これらの現地調査が加わることより、次年度使用額の新たな追加が見込まれる。さらに、国内フィールド調査、情報収集のための各種セミナーへの参加費、旅費などが必要となるため、これらの残額を使用する計画である。
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