研究課題/領域番号 |
22K02599
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
菅原 雅枝 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (80594077)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 外国人児童生徒等教育 / 専門性の育成 |
研究実績の概要 |
外国人児童生徒等に関わる教員の育成は、公立学校における日本語指導が必要な児童生徒の存在が教育課題となった1990年以降継続して「喫緊の課題」と言われ続けている。本研究はこの点について、「状況が改善しないのはなぜか、改善には何が必要か」を根幹的な問いとし、教育現場で具体的に行動できる力の育成に必要な研修の内容とその方法を正規の教員に焦点化して整理しようとするものである。 外国人児童生徒等教育の領域では担当者の異動が激しく、現場で経験を積み上げてきた教員は決して多くない。研究初年度である令和4年度は、教員のライフストーリー研究、教員の成長に関する研究について先行研究及び調査の方法について整理するとともに、各地の外国人児童生徒等教育に関する研修で講師等を務めたり、教育実践の報告を行ったりしている実践者へのインタビューを行った。本研究ではこうした教員を「外国人児童生徒等教育において指導力のある教員」と捉え、かれらに外国人児童生徒等教育に関わることになった経緯やこれまでの経験を尋ね、「外国人児童生徒等に関わる教員に求められる力とはなにか」「どのようにして指導力を身に着けたと思うか」を聞き取った。 インタビューした教員からは、求められる力として「発想力」「創造力」といった既存のやり方にとらわれない見方や、それを実践する実行力が挙げられた。さらに積極的に学校外・地域外の担当者とかかわろうとしたこと、そうした場で自身の実践を認められたことがさらなる向上心につながったことが共通して語られていた。経験の長い担当教員が「求められる力」として挙げたものが知識や児童生徒に対応する力ではなく、教員自身の「モノの見方」「行動の在り方」につながるものであったことは、多くの教員研修で行われている「講義による知識や情報の伝達」という現状の再検討の必要性を示唆していると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
健康上の問題が出来し、計画していた各地の「外国人児童生徒等教育の領域において経験のある教員」のもとを訪問する予定を立てることが困難となった。そのためインタビューが実施できたのは、オンライン等での対応が可能な協力者に限られた。なお、現在それらのインタビューデータの整理分析中であるが、学会等での報告に向けた動きも十分ではない。このため「(4)遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に実施予定であったインタビューに関しては可能な限りオンラインを活用しながら令和5年度の計画と並行して実施する。 令和5年度は、担当者になるまでの経歴の異なる教員へのインタビューを行うとともに、その分析を通して現場の教員が重要と考える「担当者に求められる力」を整理する。また、それらを「現職教員研修」の枠で実施するための試案を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度においては、健康上の問題が出来し宿泊を伴う出張が困難となったため旅費の支出が極端に少なくなったことが要因である。次年度は予定していた海外出張を含め実施していきたい。
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