研究課題/領域番号 |
22K02603
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
白松 賢 愛媛大学, 教育学研究科, 教授 (10299331)
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研究分担者 |
長谷川 祐介 大分大学, 教育学部, 教授 (30469324)
梅田 崇広 愛媛大学, 教育学部, 講師 (90908899)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 学級活動 / 特別活動 / ナラティブ / 批判的教材研究 |
研究実績の概要 |
本年度は、主に二つのサブテーマの調査及び分析を実施した。 第一は,小学校の学級活動を対象として、小学校10学級のフィールドワークを行い、蓄積されたデータからナラティヴ分析を実施し, 教室内の言語的資源や物語的資源の相互浸透過程を分析した。その結果、次の二つが明らかになった。(1)批判的教材開発には、例えば、同じ議題として立ち上がる「学級のきまり」が内包する抑圧の問題を常に意識し、どの児童にとっても「公正」と感じられるような「公共性」を構想する社会参画を求める教材研究を行う必要がある。(2)<よりよい学級>をめぐる批判的教材開発のプロセスは、どうすれば正解かという解答のなさゆえ、特別活動を「苦手」「嫌い」という保守主義的な語りとして教職リアリティを強化することである。 第二は,教員を対象としたワークショップによる学級活動リフレクション2件と、フォーカスグループインタビューを3件実施し,教師の教材(議題・題材)観や実践の課題を検討した。その結果、(1)教員の休職に関わる問題と学級経営(学級活動)に関わる問題がリンクし、学校内の教員の特別活動実践上の認知バイアスが学校の教育実践リスクとして存在していること、(2)特別活動について、20世紀型の教材観は、各地の特別活動研究組織により強化されており、若手教員の自主的あるいは自由度の高い研修やワークショップを組む必要があること、などを明らかにした。 これらの研究成果を活かして、教師を対象とした研修やワークショップで、教師の不安を減少させるために、小さな合意形成と実践のプロセスのサイクルを短くすることなどを提案した。 さらに、これらの研究成果を道徳の批判的教材研究の手法として拡張しながら、特別活動と道徳の教材研究の比較に発展させている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度においては、調査及び教員ワークショップについて、当初の計画通り進めることができている。しかしながら、初年度には依然としてコロナの影響により、データ収集やワークショップの開催について、当初計画通りには進んでおらず、その点において、今年度、データ収集を強化しながら、分析を急ぐ必要がある。また、代表者及び共同研究者が大学や学部の管理運営にかかわる業務の増加により、研究打ち合わせやデータ分析の共有が十分に進められていない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、現段階で、年2回の教員対象ワークショップを計画し、データ収集の体制を整えている。また、フォーカスグループインタビューについても、2件、9月までに計画しており、データ収集の強化を図っている。加えて、共同研究者間での分析共有については、共同研究者間の打ち合わせを対面型で増加させ、分析を丁寧に共同で実施しながら、計画的かつ機会を利用しながら、進めていくことを確認している。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査活動は順調に進んだものの、初年度の繰越金が大きく影響していることと、謝金業務において学生補助員と日程調整が多忙のため困難であった。そのため、繰越金が発生することとなった。次年度については、初年度にできなかった調査を実施するとともに、計画的な学生補助員によるデータ入力、分析補助業務を実施する予定である。
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