研究課題/領域番号 |
22K02621
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
宮川 洋一 岩手大学, 教育学部, 教授 (70552610)
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研究分担者 |
市原 靖士 大分大学, 教育学部, 教授 (20572837)
森山 潤 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (40303482)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エンジニアリングデザインプロセス / 技術・家庭技術分野 / 情報の技術 / ニーズとシーズ / STEAM / 生成AI |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、エンジニアリングデザインプロセスを通して、新しい価値をシステムとして構築するイノベーション力を高めるSTEAM教育の実現に向けて、医療・介護技術を題材とし、学習者の認知、問題発見・解決プロセス、情意等に関する学習科学的な検討を通して、認知システムや行為システムの特性を学術的に明らかにすることである。 令和5年度の取組では、第一と第三のポイントに着目して研究を推進した。 第一のポイントに対する具体的な取組としては、中学校技術・家庭科技術分野の内容D「情報の技術」にて、エンジニアリングデザインプロセスのシーズ探究過程に着目し、画像認識AIを題材とした教材を開発し、それを用いた授業実践を通して「技術リテラシーの向上」を図る取組を実施した。本授業実践を展開したことによって、技術イノベーションマインド尺度における「倫理観」や「創造性」の向上に寄与することが示され、「技術リテラシーの向上」の一端が検証されたと考えられる。 第三のポイントに対する具体的な取組としては、開発した医療・介護の製品モデルに筋電インタフェース・AI・XR技術等を組み合わせて新たな改良、応用を発想する授業実践を行った。その結果、技術分野の授業における製品モデル開発と専門家の研究開発を比較し、ニーズ探究やシーズ探究、ニーズとシーズのマッチング、エンジニアリングデザインプロセスについての共通点に気付いている生徒の姿が見られた。また,問題解決の対象とした人のニーズに応えるために、筋電インタフェースやAI技術、XR技術の優れている点と問題点を整理し、その仕組みを理解したうえで様々な技術を組み合わせた改良案、応用案の記述が見られた。このような生徒の姿から、本授業実践は技術リテラシーを高める実践であったことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度取り組みでは研究実績の概要にて述べた点に着目し、具体的な二つの実践・実証研究を行った。研究協力者による実践が行われているところであり、学習者の学習成果に係るデータも収集できている。また、これらの学習効果を測定する技術イノベーションマインド尺度が機能しており、技術リテラシーの高まりに係る実践・実証ができたという点から「おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの進捗状況において述べた通り、学習者が遂行する学習題材が実装され、研究協力者による実践が行われていることから、今後は、研究実績の概要にて述べた内容を統合した実践、データの分析、追実践を行っていくことにしている。また、特に近年急速に進化している生成AIを取り入れた「エンジニアリングデザインプロセス」の在り方を新たな検討の視点として加えていく予定である。このための学習者に対する意識調査も追加する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に係る情報収集として予定していた国際会議参加について、校務出張と同一時期に重なったため参加を見合わせたため。 令和6年度に成果報告も踏まえて参加の検討を調整する予定である。なお、見合わせの場合には学内学会発表等、研究協力者の直接参加のための旅費に充当する予定としている。
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