研究課題/領域番号 |
22K02637
|
研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
宮下 晃一 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90192765)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | デジタル / ものづくり / CAD / レーザーカッター / inkscape / 中学校 / 技術 |
研究実績の概要 |
本研究は,中学校技術におけるものづくり教育として,CADを使って設計しレーザーカッターで材料を加工して製作するデジタルものづくり授業を開発し,教育効果を検証することを目的としている。2022年度は次の研究を実施した。 ①小中学生のデジタルものづくりへの興味・関心や対応力を把握するために,鳴門教育大学に地域の中学生を招き,フリーのドローソフトinkscapeを使った作図とレーザーカッターによる出力を体験してもらった。その結果,生徒は1時間程度の練習の後inkscapeを使って自分が描きたい図形を描けるようになった。それらの図形をレーザーカッターでビスケットやペン立てなどに彫刻して持ち帰ってもらった。生徒のデジタルものづくりへの興味・関心は極めて高いことを確認した。 ②地域の学童保育の児童を対象としてレーザーカッターを使ったものづくりを実施した。学童保育の児童のアイデアに基づき指導者がレーザーカッター用データを作成し,県ごとに切り抜いた日本地図のジグソーパズルや,写真立てを作成して,保育に活用した。 ③中学校技術の授業において,フリーのドローソフトinkscapeを使って等角図を描く授業を実施した。この授業を通して中学生にinkscapeの使い方を習得させるために要する時間や難易度を把握した。今後,inkscapeを使ったレーザーカッター用データ作成の授業へ発展させる計画である。 ④中学校技術において広く行われている手作業での木材加工による本立て製作を,レーザーカッターで実施することを想定して,適切な材料や接合方法,構造を明確にした。 ⑤レーザーカッターによる加工の様子を遠隔地にある中学校の教室から観察できるよう,臨場感あふれる映像配信や撮影方法を確立した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①フリーのドローソフトInkscapeを使って等角図を描いて設計を行う研究授業を中学校で実施した。この研究授業を発展させ,レーザーカッターによるデジタルものづくりの授業に発展させる手がかりを得ることができた。 ②デジタルものづくり授業を遠隔教育として実施するためのシステムを検討した。レーザーカッターの加工状況を遠隔地にある教室から観察するため,遠隔会議システムteamsが使えることを確認した。さらに臨場感のある映像を配信するためのカメラやマイクの配置を明確にできた。 ③Inkscapeの使い方を学習する遠隔授業において,遠隔地にいる授業者が個々の生徒の作図画面を把握するために授業支援アプリMetaMojiを使用することは,MetaMojiの作図機能では設計には不向きであるために使いにくいことが分かった。 以上のことから現在までの進捗状況を「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降,実際に中学校技術においてレーザーカッターを使用する研究授業を実施して,学習効果を把握する。 第1段階では,対面授業の形でinkscapeの使い方とレーザーカッター用データの作成を指導する。作成されたデータを遠隔地にあるレーザーカッターに送り,加工を行う。その後,レーザーカッターで加工された部品を組み立てる製品作りを行う。 第2段階では,遠隔授業の形でinkscapeの使い方とレーザーカッター用データの作成を指導する。 最後にこれらの授業による学習効果を把握する計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画時点では授業支援アプリMetamojiを使って遠隔地で学ぶ生徒の学習状況を把握することを計画していたが,Metamojiでは目的を実現することが困難であることが分かった。そのため,ノートPCならびにMetamojiライセンスの購入を見送った。次年度以降に代替となるシステムを明確にし,導入を進める。 またレーザーカッターのメンテナンスに熟練した結果,関連する消耗品を購入する必要がなくなった。次年度以降に消耗品の購入を進める。
|