研究課題/領域番号 |
22K02639
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
樺山 敏郎 大妻女子大学, 家政学部, 教授 (80442507)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 読解 / 記述 / 全国学力学習状況調査 / PISA調査 |
研究実績の概要 |
本研究は、文章を正確に読み解き、目的や所与の条件等に応じて的確に記述する、「読解を経由する記述力」の向上を図ることを実証化して示すものである。 令和4年度は3か年計画の初年度に当たる。本年度は、研究対象のフィールドとなる北海道の5地区(網走市、帯広市、千歳市、函館市、余市町)を訪問し、研究課題や研究の目的、研究内容、計画について説明を行うことができた。各地区の教育委員会の担当者を窓口とし、各市町に研究協力校を委嘱することができた(網走市2校、帯広市3校、千歳市2校、函館市2校、余市町4校)。 各教育委員会及び各研究協力校においては、研究課題に即して過年度までの状況を分析・考察を業務依頼し、それぞれの現状を把握し、課題の所在を共通認識してもらうことができた。各地区が整理した具体的な内容としては、全国学力・学習状況調査の過去3か年の国語・算数の正答率、国語科の記述式問題の正答率及び無解答率の状況とその考察、そして各教育委員会及び各研究協力校における今後の課題解決の方途である。 さらに、5地区が共通して研究課題の解決に向けた取組の視点として、次の7点を示した。 ①所与のテキスト形式の理解と対応、②複数の資料や過多な情報の処理、③内的な思考・判断の言語化、④所与の条件に即した記述、⑤他者のフィードバックによる精査、⑥短時間に読み、短時間に書く状況の設定、⑦読み書きの体幹の強化 これをレインボーモデルとして5地区が共有して仮説検証的な実証化へ向かうこととした。初年度は、このように本研究の足場を固めることができ、有意義であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、北海道の5地区を研究対象のフィールドにしている。5地区の選定において、事前に北海道教育庁の関係部局と連携することができた。広大な北海道は、14の教育局に分かれているが、北海道教育庁の担当者が各教育局と密に連携を取っていただき、無作為ではなく、本研究における課題認識と研究の方向性を共有できるという条件をクリアすることができた。 各地区の教育委員会が窓口となり、研究協力校を選定するように依頼したところ、当初の予算では各地区2校計10校を研究協力校として想定していたが、本研究の意義を十分に賛同していただき、計13校が受諾することとなった。 各研究協力校は、いずれも中規模以上の学校である。本研究の目的や内容、研究計画の説明において、時期的に少し遅くなってしまった地区が出てしまったことが課題であった。
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今後の研究の推進方策 |
3年間のうち、中間に当たる2年次は、次の2つの観点に基づいて研究を推進していく。 まず、各研究協力校の2023年全国学力学習状況調査の結果に基づき、研究実践の状況を把握する。国語科における記述式問題の解答状況を分析し課題を明らかにするとともに、共通実践の方向として共有しているレインボーモデルの具体化の視点を再検討する。 もう一つは、授業を通してレインボーモデルの取組を加速することである。日々の国語科授業において、レインボーモデルをいかに具体化するかを、各研究協力を検討を加えながら、実証化を図っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費が予定どおりの執行ではなく、全体の執行に当たる調整が不十分であったため、次年度への使用額が生じた。 次年度は、全体の執行状況を見極め、必要な経費として計上していく。
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