研究課題/領域番号 |
22K02661
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山元 隆春 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (90210533)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 読むこと / 読者反応 / 理解方略指導 / 学習評価 / BHHフレームワーク / BHH-Dリーディング |
研究実績の概要 |
2022年度の研究のなかで明らかになった、言葉と意味の共有のありようを検討する過程をどのようにつくり出すことができるかという問題をさらに究明するために、現代米国の理解方略指導に関する代表的な文献を参照しつつ、研究を進めた。 一連の文献で提唱されている、読者が、本から学ぶ以上のことをしたり、本を楽しむ以上のことをするために読むのだということを銘記するための、指導・評価に関する「BHHフレームワーク」及び、読書行為と読者の現実生活とを関連づける「BHH-Dリーディング」の検討を行い、次のような知見を得た。①授業者と学習者とのカンファレンスや、学習者同士の話し合いを通して、「BHHフレームワーク」をもとに本や文章を読み、語り合うことができれば、本や文章のなかに何が書かれてあったか、それについて一人ひとりがどのように「頭のなか」で考えたか、そして本や文章に書かれている言葉を超えて一人ひとりが読書行為から「心のなか」に何を得たのかということを見極めることができる。②授業者側から見れば、学習者達がそのようなことに注目して読んでいるかということを知る手がかりが得られ、読み方や読んだ本や文章についてどのようなことを学習者にフィードバックすればいいかということを知ることができる。③学習者側からすれば、自分自身が読む際に注目していたことが他の学習者とどのようなところで共通し、どこが異なるのかということを知るきっかけになる。④上記①~③のように本や文章を読んで話し合ったあと「いま、あなたは何をしたい?」と生徒に質問することは、学習者自身に自己評価をもとめる問いであると同時に、授業者にとっては生徒がどのような読む体験をしたのかということをその答えから把握する重要な手がかりとなる。 いずれも、読むことの自己評価・相互評価を進めるための有力な参照枠をつくる重要な要素になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「評価と結びついた理解方略の研究」を有力な先行研究文献の詳しい検討を通して進め、読むことの学習指導におけるフィードバック、自己評価・相互評価のための「フレームワーク」の基盤を探り出し、研究課題に対して一定の成果を得ることができたと考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
「文学作品を中心とした読むことの学習指導のなかで、「話し合い(討議)」は「深い学び」をどのように促し、学習者にどのようにフィードバックしていけばいいのか」という問いに対して、2023年度の研究を通して得られた知見をもとに、必要な文献をや情報をさらに収集し、ワークショップや授業等で検証し、読むことの学習評価につながる理解方略指導の理論(モデル)を築き、それに基づく学習指導法の開発を目指す。
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