研究課題/領域番号 |
22K02669
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
吉岡 尚孝 関西福祉科学大学, 教育学部, 講師 (60885309)
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研究分担者 |
堀田 千絵 奈良教育大学, 教職開発講座, 准教授 (00548117)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 個別最適な学び / 協働的な学び / 読書会 / 読者反応理論 / 読解方略 / 「主体的・対話的で深い学び」 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、本や作品をグループで読み、交流する読書会を活動の中心とした「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を実現する小学校国語科における「読書会型単元学習」の開発とその授業実践によって「自立した読者」を育むことを目指した「読むこと」の学びの過程の理論化にある。その背景として、①他の読者と読みを交流することによって、読みの更新、発展、 深化が社会構成的になされること(Rosenblatt,1978; Bleich,1995; 田近,2003;山元,2016;Seymour,2020) 、 ②「読書会」は国語科の読解指導において有効なアプローチであり、自立した読者としての子ども(自分にぴったりくる本を選び、読み味わい、問い直し、読み続ける子)を育成するとともに、「読書会」を充実させていくことが読書指導において重要であると認識されながらも、その実践研究に基づく理論化の蓄積が乏しいことにあることを見出し、これらを解消すべく以下の3点を目的とした。① 教科書所収の文学教材を共通図書とし、関連する課題図書をそれぞれが選び交流する読書会型単元の開発の素地となるテーマの妥当性を検討することとした。② ①をもとに、「個の読み(「個別最適な学び」)」と「集団の読み(「協働的な学び」)」が一体的に充実・発展する実現可能な小学1年生から6年生の授業展開、学習方法としての読書会型単元学習を開発することとした。 ③ ②の実践と4年間の縦断的な検証により、自立した読者へむかう「読むこと」の学びの過程を理論化することにあった。 本年度は、前年度の成果をもとに読書会型単元の修正案を作成するとともに、ビアーズとプロストト(2013;山元,2018訳)の「6つの「道標」と「核となる問い」を参照に、子どもが立ち止まり、考えるための「道標」について検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、これまで高学年以降を中心に進められてきた読書会型単元学習の在り方を、「個の読み(「個別最適な学び」)」と「集団の読み(「協働的な学び」)」という考え方に置換し、これらが一体的に充実・発展する実現可能な小学1年生から6年生の授業展開、学習方法としての読書会型単元学習を開発することにある。 すでに文献研究による低学年での読書会型単元学習の予備的な授業を試み、題材として「障害」「病気」「家族」をもとに、「個の読み(「個別最適な学び」)」と「集団の読み(「協働的な学び」)」の学習方法としての読書会型単元学習を開発を終えているが、授業の実際をとおした検証ができていないためである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、本や作品をグループで読み、交流する読書会を活動の中心とした「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を実現する小学校国語科における「読書会型単元学習」の開発とその授業実践によって「自立した読者」を育むことを目指した「読むこと」の学びの過程の理論化にある。こうした自立した読者としての子どもの育成は、小学校入門期から持続的に検討されるべきであり、本研究は今後、特に小学校1年生において、題材としての「障害」「病気」「家族」をもとに、「個の読み(「個別最適な学び」)」と「集団の読み(「協働的な学び」)」の学習方法としての読書会型単元学習の検証を進めていくこととしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行に際して、小学校現場での検証授業を行う予定であったが、その一部(低学年)しかできなかったため、次年度使用額が生じた。今年度は、読書会型単元の小学校現場(全学年)および院内学級での検証を計画している。また、小学校国語教科書の改訂のため、児童用教科書と指導書の購入を計画している。
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