研究課題/領域番号 |
22K02678
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
伊藤 正実 群馬大学, 研究・産学連携推進機構, 教授 (60274742)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 輸出管理 / コンプライアンス / 国際交流 / みなし輸出 / 輸出者等遵守基準 / 留学生 / 研究インテグリティ / 外為法 |
研究実績の概要 |
外為法に基づく輸出管理において令和4年5月に施行された役務通達の改定により、居住者への機微技術提供であっても、当該居住者が非居住者へ技術情報を提供する取引と事実上同一と考えられるほどに当該非居住者から強い影響を受けている状態であれば“みなし輸出”管理の対象になった。具体的には、以下の3類型に対応する者が、居住性に関わらず、令和4年5月1日から輸出管理の対象となった。 類型① 契約に基づき外国政府・大学等の支配下にある者 類型② 経済的な利益に基づき外国政府等の実質的な支配下にある者 類型③ 日本国内において外国政府の指示の下で行動する者 これより、先に述べたような日本国内での滞在期間の長短に関わらず、これらの類型に当てはまる者への役務提供は常に輸出管理の対象となった。例えば、外国政府や外国の大学と雇用契約等を締結している日本の大学に雇用されている教職員に対して、未公開の研究情報等の技術情報の提供をする際には、当該者が日本人あるいは非日本人に関わらず、輸出管理上の確認が必要となる。こうしたことに大学がどの程度対応して規定や帳票の改定をして運用がなされているのか、あるいは大学の研究教育活動にどういった影響があるのかあきらかにすることを本研究の目的としている。令和4年度は各大学の輸出管理部署にアンケートをおこないその実態を調査した。法令の改定前に、規定や帳票を改定する必要があるが、アンケート回答大学の中では、令和4年10月の時点で47%の大学が既に規定と帳票を改定を終了し、20%の大学が令和5年度前半までに規定と帳票の改定を予定していることが判明した。 その一方で雇用者に対する特定類型の該否に関する誓約書の提出、特定類型該当者に対する役務提供に関する輸出管理等、全ての実務的な管理の状況が万全といえる大学は1割程度であることが、この調査から判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
役務通達の改定に対する対応状況について理工系の学部を持つ213の大学にアンケート調査を依頼し、135大学から回答を得た。(回収率64%)とともに、回答から先進的な取り組みがなされていると思われる大学10大学にヒアリングをおこない、アンケートの回答内容の妥当性等もこれによって確認し、報告書を作成し令和5年度に発行する予定である。以上当初の計画通り、進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に実施したアンケート調査結果について報告書をまとめ、必要に応じて運用状況を追加調査する。これとともに既に役務通達の改定に関する運用が取り組まれていると思われる大学の学部等の部局を対象に、留学生管理等に対してどういった影響が発生していると考えているのか、こうした役務通達の改定に関して部局がどのように認識しているのかアンケート調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査した大学の中で先進的な取り組みをしていると思われる大学を10か所程度訪問して、ヒアリングを行う予定であったが、感染症等の影響で一部の大学でリモートを希望するケースが発生し、当初の予定より旅費の予算執行額が減少した。発生した次年度使用額については、さらにヒアリングする大学を増やすことに充てる予定である。
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